■金属時評最新ニュース 週間速報版

■■金属時評■
  「レアメタル」と「レアアース」の素材から
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■創刊:昭和33年11月15日 
■発行日:毎月5日・15日・25日 B5版16頁 

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■金属時評 週間速報版
*2019年
6月10日~6月14日(週間)
6月14日
京大、新規ポルフィリン色素の設計指針を開発、世界最高の太陽光エネルギー変換効率の実現に寄与 

京都大学の研究グループが、世界最高のエネルギー変換効率を示す新規なポルフィリン色素の開発に成功した。これまで、ドナー/アクセプター構造を持つポルフィリン色素のエネルギー変換効率が最高値を記録する一方で、縮環ポルフィリン色素はエネルギー変換効率が低く、あまり注目されてこなかった。しかし今回、研究グループは適切な分子設計を行うことにより、世界で初めて縮環ポルフィリン色素で10%を超えるエネルギー変換効率を達成した。また、現在世界最高のエネルギー変換効率を示す色素を参照色素として太陽電池性能比較を行い、今回開発した色素が参照色素を上回る性能を示すことを明らかにした。

6月14日
原研機構、東北大、理研がスピン流が機械的な力を生み出すことを実証、ミクロな量子力学からマクロな機械運動を生み出す新手法

日本原子力研究開発機構、東北大学、理化学研究所(理研)、東京大学らとの研究グループが、マイクロメートルスケールの磁性絶縁片持ち梁(カンチレバー)を作製し、そこに磁気の流れである「スピン流」を注入することでカンチレバーを振動させることに成功したと発表した。研究は、スピン流によって物体の機械運動が生み出せることの実証を目的とし、磁性絶縁体を加工して作製したマイクロメートルスケールのカンチレバーに磁気的な波としてスピン流を注入することで、機械運動を生み出せることを検証したもの。カンチレバーは絶縁体のため電流は一切流れず、磁気の流れであるスピン流だけを流すことができる。その結果、スピン流が運ぶミクロな量子力学的回転がマクロな動力となることを実証した。

6月14日
DOWAグループ、メキシコのロス・ガトス鉱山開発プロジェクトの権益比率変更で合意

DOWAホールディングス(東京都千代田区外神田4丁目14番1号 資本金:364億円、関口明社長)子会社のDOWAメタルマイン(株)(同所 資本金:10億円 須山俊明社長)は、Sunshine Silver Mining & Refining社(本社:米国コロラド州デンバー市、以下SSMRC)とともに、メキシコ合衆国チワワ州においてロス・ガトス銀・亜鉛・鉛鉱山開発プロジェクト(以下本プロジェクト)を推進しているが、DOWAとSSMRC間で協議した結果、本プロジェクトに対する両社の権益比率を変更することに合意した。

6月14日
DRコンゴ:Manonoリチウム・錫プロジェクトに関し、豪AVZ社と中国Huayou社が戦略的関係を結ぶ
JOGMECによると、豪AVZと中国Huayou Cobalt社の子会社Huayou International Mining社との間で戦略的関係に入る契約(ノンバインディング)を締結した、と豪AVZ社が発表した。Huayou社はAVZ社の9.47%の株式を所有しており、今回の契約により、DRコンゴでコバルト生産の実績を持つHuayou Cobaltグループ社が同国のManonoリチウム・錫プロジェクトの最終FSを完成させる上での支援を行う。具体的には、プロジェクトファイナンスやオフテイク契約、エンジニアリング・資材調達・建設のマネージメント、生産物の運搬オプションなどのアドバイスを行う。同プロジェクトは、鉱石由来のリチウムプロジェクトであり、5月に発表された予備的経済性評価では、精測と概測鉱物資源量を合わせて269百万t(品位:Li2O 1.65%)、20年間のマインライフで年間5百万tを採掘する場合3.8~4億US$を要する。

6月14日
東芝エネルギーシステムズ、アサヒビール茨城工場向け自立型水素エネルギー供給システム「H2One」が運転開始

東芝エネルギーシステムズ社がアサヒグループホールディングス株式会社から受注した自立型水素エネルギー供給システム「H2One(TM)」の納入が完了し、茨城県守谷市にあるアサヒビール茨城工場内において営業運転を開始する。同社はこれまで自立型水素エネルギー供給システム「H2One(TM)」を駅やホテル、スタジアムなど様々な用途向けに納入している。今回、アサヒビール茨城工場向けの「H2One(TM)」で累計納入台数は11台目。「H2One(TM)」は、再生可能エネルギーと水素を活用して、電力を安定的に供給できるCO2フリーの自立型水素エネルギー供給システム。同社独自の水素エネルギーマネジメントシステム「H2EMS(TM)」(注1)により最適に制御することで、再生可能エネルギーで製造した水素を計画的に純水素燃料電池システム「H2Rex(TM)」で発電させ、安定的な電力供給を実現する。

6月13日
東大、電流を流すとN極とS極が反転する磁石を実現、強磁性半導体単層極薄膜における低電流密度磁化反転現象

東京大学大学院の田中雅明教授らの研究グループは、小さな電流を流すだけで N 極と S 極(磁化の向き)が反転する磁石を実現した。研究グループが作製したのは、ガリウム砒素(GaAs)半導体にマンガン原子を数%ドーピングした強磁性半導体GaMnAsという物質からなる膜厚7 nmの極薄膜。この薄膜に電流を流すだけで、しかも 3.4×105 Acm-2という非常に小さな電流密度で磁化が反転することが分かった。強磁性半導体 GaMnAs には、物質内に相対論的量子効果であるスピン軌道相互作用が存在しており、それにより、低電流密度での磁化反転が起こっているものと考えられ、今回の成果により、低電力での磁化反転が可能な新たな強磁性材料探索が加速することが期待される。

6月12日
東大=産総研、アルミ系近似結晶でバンドエンジニアリングにより半導体を創製、高性能熱電材料の開発につながる成果 

東京大学と産業技術総合研究所は、アルミ系近似結晶で、バンドエンジニアリングによる半導体を創製することに成功した。この成果によって半導体準結晶は熱電性能が結晶の2.5倍になる可能性がある。アルミ系には多くの準結晶が存在するが、これまでは前駆物質である近似結晶でも、半導体は見つかっていなかった。東京大学や、産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリの木村教授らは、半金属的バンド構造を持つアルミ系近似結晶「Al22Ir8」のバンドギャップをバンドエンジニアリングによって開き、半導体を創製することを試みた。Al22Ir8は、アルミ系正20面体準結晶の前駆物質であるアルミ系近似結晶の1つ。木村教授らはまず、その伝導帯の下端と価電子帯の上端の電子軌道の起源を調べた。その結果、伝導帯の下端は正20面体クラスターの頂点に位置するIrのd軌道からできており、価電子帯の上端は正20面体クラスター内部のAlが8個とIrが1個からなるクラスターのp様軌道からできていることが分かった。Al22Ir8とAl18Si5Ru8近似結晶のバンド構造と伝導帯下端と価電子帯上端の電子軌道、IrのRu置換とAlのSi置換によるバンドエンジニアリングにより、バンドギャップを開くことに成功した。

6月12日
GSユアサ、リチウムイオン電池が完全バッテリー推進船「e-Oshima」に搭載

株式会社 GSユアサ(村尾修社長、本社:京都市南区)の産業用リチウムイオン電池が、株式会社大島造船所(平賀英一社長:、本社:長崎県西海市)が2019年6月12日に運航を開始した国内初の完全バッテリー推進船の動力源として搭載された。大島造船所が建造した「e-Oshima」は、国内最大級の完全バッテリー推進船(全長 35m、総トン数 340t)で、海洋の旅客船としての営業は国内で初めて。蓄電池のみを動力源とするため、航行中、停泊中ともにCO2を排出しない「ゼロエミッション船」であることに加え、次世代IoT技術を採用した自動操船機能が実証的に導入されている。バッテリー推進システムにはGSユアサ製の約600kWhの大容量リチウムイオン電池が運航に必要な主電源装置として使用されており、リチウムイオン電池を多重に保護する管理装置を含めたシステムとなっている。GSユアサ製のリチウムイオン電池は、航行用の動力源以外にも通信・航海・無線機器、照明、空調など航行中の全ての電源に電力を供給するほか、船舶の省人化および安全性向上をもたらす自動運航技術の一翼を担っている。

6月12日
ジャパンディスプレイ、白山工場の一時稼働停止、1200の人員削減・役員報酬の削減などによる構造改革を発表

ジャパンディスプレイは、固定費の更なる削減に向けた構造改革の具体的内容を検討してきたが、今後の需要の大幅回復の見込みが立たないモバイル事業の縮小と、これに伴う白山工場(石川県白山市)の一時稼働停止及び茂原工場後工程ライン(V2ライン、千葉県茂原市)の閉鎖を決議した。また、併せて人員削減、役員報酬及び社員給与等の削減、並びに現社長の退陣など執行体制の刷新を決めた

6月12日
NEDO・昭和電線ケーブルシステム・BASFジャパン、民間プラントでの世界初の三相同軸超電導ケーブルの実証試験を開始、プラント内の既存冷熱の利用により、大幅な省エネを目指す

NEDO、昭和電線ケーブルシステム(株)、BASFジャパン(株)は、BASFジャパン(株)の戸塚工場の敷地内で、低コスト超電導ケーブルシステムの実証試験を実施する。民間プラントで実際の系統に三相同軸超電導ケーブルを適用した実証試験は、世界で初めて。実証試験では、プラント内の既存の冷熱の利用により、超電導ケーブルの冷却に必要なエネルギーを大幅に削減することを目指す。今後、今年中に敷設工事を行い、2020年2月に運転を開始する予定。超電導部にはイットリウム系超電導線材を用い、各相の間には合成樹脂と紙のラミネート材による絶縁層が形成されている。この導体をアルミニウムまたはステンレスの波付き二重保温管に入れ、その中を液体窒素が流れる構造で、この構造をとることによって、三相でありながら冷却用の二重保温管が1本、機器とつなぐ端末が1組(2個)でケーブルシステムを構成することになり、これまで国内で試験されてきた超電導ケーブルに比べて使用する液体窒素量が1/3程度となるコンパクトな構造となっている。これによって、これまで超電導ケーブルの実用化で課題となっていた経済性が大幅に改善し、この技術を30MW以上の大規模電力を利用するプラント内のケーブルに適用すれば、従来の電力ケーブルと比較して、ケーブルの送電ロスを95%以上、それに伴い電気料金を年間2,000万円以上削減することが見込めるという。

6月11日
日本ガイシとBASF、大容量電力貯蔵システムNAS電池の販売提携契約を締結

日本ガイシ株式会社(大島卓社長、本社:名古屋市)とドイツの総合化学メーカーBASF 社の子会社である BASF New Business GmbH(ギド・ボイド社長、本社:独ルートヴィッヒスハーフェン)は、日本ガイシの大容量電力貯蔵システム NAS(R)電池の販売提携契約を締結した。契約は、BASF 社の有する世界的な販売網を通じて、BASF New Business が日本ガイシの NAS 電池を販売するもので、相互の営業活動を制限しない非独占的な提携とすることで、相互の自由な営業活動による相乗効果を狙っている。

6月11日
米政府、世界の鉱物資源開発を支援へ 中国依存の低下狙う

米国務省は、世界各国に対し、リチウムや銅、コバルトなど鉱物資源の開発を支援する計画を発表したと報道された。鉱物資源を巡る中国への依存度低下に向けた戦略の一環という。 国務省は概況報告書で「世界のレアアース(希土類)元素のサプライチェーンの80%超が1つの国に支配されている」と指摘。「1つの供給元に依存することは供給停止のリスクが高まる」とした。 計画によると、米国は資源開発を支援するために他国と鉱業に関する専門知識や技術を共有するほか、他国の産業が国際的な投資対象となるように管理やガバナンスの枠組みについて助言する。 これにより、鉱物の世界的な需要に見合う供給の確保につながる可能性がある。鉱物に対する世界的な需要はハイテク製品の増加に伴い急増するとみられており、概況報告書によると「重要なエネルギー鉱物の需要は2050年までに約1000%増加する可能性がある」という。

6月11日
中国:国家発展改革委員会、レアアース業界の専門家を招き懇談会を開催、レアアース産業における品質の高い成長促進について議論

JOGMECによると、習近平総書記の、贛州での調査研究を踏まえて行った発言の精神に基づき、6月4日、国家発展改革委員関連局はレアアース業界の専門家を招いて懇談会を開き、業界の成長状況を分析し、中国国内のレアアース産業の成長促進について意見や進言を求めたという。会議に参加した専門家は、下記のような提案をした。レアアースは、再生できない不足資源として、中央政府はレアアース業界に対しあらゆる面から監督管理を強化し、生産秩序を正し、違法・規則違反、無許可生産や違法密輸行為を厳しく取り締まる。違法や闇の産業チェーンを徹底的に断ち切る。輸出に対する管理規制を強化し、レアアース輸出に関わる全ての段階で追跡システムと審査システムを設置する。同時に業界の科学技術の向上及び資源の高付加価値化を支援し、資源の消費を促進し、無計画な拡張方式をやめ基礎研究開発能力の向上や技術の改善を行い、イノベーション主導の発展を図り、産業全体の競争優位性を高める。

6月10日
TSMC、稼働率低下デ中国・南京工場での生産拡大を延期

台湾の地元紙の報道によると、TSMCの劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、稼働率低下のため中国・南京工場での生産拡大の延期を検討していると明らかにした。米国の制裁措置の対象となったスマートフォン大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)からの受注が減少したためだ。米中貿易戦争が再燃した中、同社は米国での生産も選択肢に入れている。同社は米国の輸出規制措置は、製品に採用される技術の25%以上が米国原産の場合も対象となる。TSMCは、自社で研究開発を行っている他、原材料はアジアからの購買が主のため、米国製比率が比較的高い製造設備を加味しても、ファーウェイ子会社の深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)に出荷する製品の米国原産技術の割合は25%を超えないと公表している。

6月10日
中国のレアアース輸出、5月は前月比15.9%減
中国の5月のレアアースの輸出が5月は前月比15.9%減となった、と外電が伝えた。

6月2日~6月7日
6月7日
JX金属と仏Agorize社、新規事業創出でアクセラレータープログラムを実施、世界各国のスタートアップ企業とのオープンイノベーションによる新規事業創出を目指す

JX金属株式会社(本社:東京都千代田区、大井滋社長:)は、新規事業の創出を目指し、フランスのAgorize社(本社:パリ、Charles Thou社長)と共同しアクセラレータープログラム「Innovation challenge for the Next Generation」(プログラム)を実施する。アクセラレータープログラムとは、協業や出資を目的として、企業がスタートアップ企業からコンテスト形式でアイデアや提案を募集するプログラムのこと。

6月7日
阪大、室温で2倍以上に 圧力による電子バレーの制御により熱電性能の向上に成功、セレン化スズ系熱電材料の高性能化に期待

大阪大学の酒井英明准教授らの研究グループは、近年、優れた熱電材料として注目を集めているセレン化スズに外部圧力を加えることで、室温を含む幅広い温度範囲で熱電性能(電力因子注1))が2倍以上に増大することを発見した。さらに、この性能向上が、1960年代に物理学者リフシッツが提唱した電子のバレー状態のトポロジー変化(リフシッツ転移)に由来していることを世界で初めて明らかにした。物質中の電子は、ある特定の運動量を持つ状態のエネルギーが低くなり、電子バレー(谷)を形成している。これまでバレー状態は、電気伝導だけでなく熱電性能を決定する重要な因子の1つと予想されていたが、バレー状態の実験的な観測手法は限られており、その制御を同時に行うことは困難であったため、具体的な影響については解明されていなかった。

6月7日
豪ライナス放射性廃棄物、WA州は再度拒否

地元紙によると、オーストラリア・西オーストラリア(WA)州政府は、レアアース(希土類)生産大手ライナスの、マレーシア工場で発生した約45万トンの放射性廃棄物の処理について、これらのマレーシアからの逆輸入を再度、拒否した。

6月7日
トヨタが電動化計画5年前倒し EV、25年に100万台

トヨタ自動車は、車両電動化に関する説明会を開き、自社の世界販売台数の半分を電動車にする目標時期を2025年と、従来の30年から5年ほど前倒しすると発表した。 同社の寺師茂樹副社長はハイブリッド車の販売が拡大しているといい、電動車の普及ペースが想定より速まっていると話した。 また、車載用電池最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)からも電池を調達することを明らかにした。寺師副社長は、地域ごとに適切な電池メーカーと付き合って調達すると説明した。 一方、トヨタが開発中の全固体電池も来年の東京五輪に何らかの形で披露したいとの意向を示した。

6月6日
浜松ホトニクス、ハイパースペクトルカメラ向け「InGaAsエリアイメージセンサ」を開発、世界最長、波長2.55µmの近赤外光までエリア検出可能

浜松ホトニクスは、長年培った化合物光半導体の製造技術により、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)を材料とするエリアイメージセンサとしては世界最長となる波長2.55マイクロメートルの近赤外光まで検出できる撮像素子「G14674-0808W」を新たに開発した。この製品をプラスチックのリサイクル用途向けのハイパースペクトルカメラに組み込むことで、これまで識別が難しかった難燃性樹脂が含まれているプラスチックも選別でき、リサイクル率向上につながると期待される。7月1日から国内外の産業用カメラメーカーに向け受注を開始する。

6月6日
レアアース輸出規制を討議、中国政府が会合

現地筋によると、中国の国家発展改革委員会は4日、レアアースに関する専門家会合を開き、輸出規制についても討議したと発表した。米国との貿易摩擦が激しくなる中、対米輸出を規制する制裁措置をちらつかせる狙いとみられている。

6月6日
理研と東大など、有機ELの新たな発光機構を発見、三重項励起子を低電圧で選択的に形成 

理化学研究所(理研)は、東京大学らとの国際共同研究グループが有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイスにおいて重要な役割を担う三重項励起子を低電圧で選択的に形成する新たな機構を発見した。この研究成果は、有機ELデバイスのエネルギー効率の向上につながることが期待できるとともに、材料選択の幅が広がり、これまで実現できなかった青色のりん光材料を実現できる可能性があるなど、新たな材料開発に繋がることが期待できるという。

6月5日
東工大がカオス信号を生成する手法を発見、小型で効率的、低消費電力なデバイスを作製 

東京工業大学のルドビコ・ミナティ特任准教授と伊藤浩之准教授らの研究グループが、「カオス信号」を生成する集積回路の作製法を新たに提案した。相互に接続された3つの「リング型発振器」を利用し、発振器間の接続強度が互いに競い合いながら制御されるように設計することで、低消費電力でのカオス信号の生成に成功したという。超低消費電力コンピューターやセンサーなどへの応用が期待される。脳活動、動物の群れ、天気など自然界の現象を示す信号を再現できれば、それらの原理を理解する手がかりとなる。これらの信号は複雑で、究極的にはいわゆる「カオス信号」になる。カオスとは、ランダム性ではなく複雑な規則性を意味する。カオスシステムでは、わずかなパラメータの違いが大きな挙動変化をもたらし得る。カオス信号は多様な局面に存在するが、目的通りの特性を示すカオス信号の生成は難しい。それをデジタル信号で生成すると消費電力が多過ぎる場合があるので、アナログ回路を用いる必要がある。研究グループは、カオス信号を生成する集積回路を作製する方法を新たに提案したもの。

6月5日
シャープ、ベトナムのクアンガイ省に太陽光発電所(メガソーラー)を建設

シャープエネルギーソリューション株式会社は、タイ王国のエネルギー関連企業Sermsang Power社(SSP社)や、SSP社傘下のTruong Than Quang Ngai Power And High Technology Joint Stock社などと共同で、ベトナムのクアンガイ省に太陽光発電所(メガソーラー)を建設した。発電所の出力規模は約49MW、年間予測発電量は約73,143MWh/年であり、ベトナムの一般的な家庭の約38,762世帯分の年間消費電力量に相当。同社がベトナム国内に建設した太陽光発電所は、建設・運転開始済みの3カ所(約146MW-dc)を含め、合計約195MW。ベトナム政府は、太陽光発電の施設容量を2030年までに12,000MWに引き上げることを計画しており、同社は今後も、ベトナムにおける再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に寄与する計画。

6月5日
中国、新エネ車の販売は2019年1~4月も順調
中国自動車工業協会(CAAM)は5月27日、2018年の新エネルギー車生産・販売状況に関するレポートを発表した。レポートによれば、2018年の新エネ車の生産台数は127万台、販売台数は125万6,000台(自動車全体に占める割合は4.5%)となった。その中で、新エネ乗用車の販売台数は105万3,000万台で、うち純電動車が75%を占めた。

6月5日
三菱マテリアル、独シュツットガルトにテクニカルセンターを新設

三菱マテリアル株式会社(小野直樹取締役社長:、資本金 1,194億円)の加工事業カンパニーは、欧州地域における切削加工ユーザー向けの新たな技術サポート拠点として、ドイツ・シュツットガルトにテクニカルセンターを開設した。欧州地域では、顧客の切削工具知識向上のための研修サポートを主な目的として、2008年にスペイン・バレンシアにテクニカルセンターを開設している。新たに開設したMTEC Stuttgartは、お客様の加工現場における問題解決に主眼をおいたソリューションサービスを提供する施設となる。

6月4日
三井物産、マヒンドラと太陽光事業
三井物産は4日、インドの複合企業(コングロマリット)マヒンドラ・グループ傘下で再生可能エネルギー事業を手掛けるマヒンドラ・サステンと共同で太陽光発電事業を推進すると発表した。マヒンドラ・サステンの子会社であるマーベル・ソルレンに三井物産が49%を出資する。出資額は非開示で、取引完了時期は未定。マーベルは、顧客の建物の屋根や敷地内に太陽光発電設備を設置、10~25年にわたり同顧客に売電する分散型太陽光発電事業を行っている。現在は、西部マハラシュトラ州の2カ所、南部のカルナタカ州とテランガナ州の各1カ所で、総発電容量1万6,000キロワット(kW)の事業を展開する。三井物産の世界的なネットワークを生かし、2023年までに総発電容量を15万kWまで引き上げる考えだ。

6月4日
沖電線、伸縮FPC開発、人の動きなどへの追従を実現 

沖電気は、グループ会社の沖電線が伸縮可能なフレキシブル基板「伸縮FPC」を開発したと発表した。フレキシブル基板(FPC)は柔軟性や軽薄性に優れるが、衣服型のウェアラブルデバイス用の配線材として使用する場合には、さらに人の動きに追従するための伸縮性や、機能部品などを搭載できる実装性が求められる。今回の開発では、従来からFPC基材として用いられるポリイミドに代わって、伸縮可能な基材を使用した。同基材はゴムのように何度も伸縮でき、しかも耐熱性も有しているため、はんだによる部品実装も問題なくできる。さらに、回路導体には、従来のFPCと同じく銅配線を採用。配線を工夫して伸縮する基材に追従できるようにした。伸縮時の導体抵抗値の変化が小さな銅配線を採用することで、センサーとしても使用できる。伸縮FPCを胸部に巻きつけ、銅配線内の信号変化を計測することで胸部内を診断するウェアラブルセンサーへの利用などが期待できるという。6月から発売し、2020年度に1億円以上の売上を目指す。

6月4日
インドネシアAntam、フェロニッケル生産等下流事業に多額の投資、追加輸出許可も取得へ

JOGMECによると、インドネシア国営非鉄金属会社PT Antam(PT Aneka Tambang)のArie Prabowo Ariotedjo社長は20日、フェロニッケル生産等の下流事業2件に対し総額72~132億US$の投資を計画していると発表した、と地元メディアが伝えた。

6月4日
WSTS、2019年春季半導体市場予測の結果を発表

WSTSの2019年春季半導体市場予測世界の半導体市場動向によると、2018年の世界半導体市場は、ドルベースの半導体合計は前年比+13.7%と、2017年の同+21.6%に続く二桁成長となった。但し年後半は、米中貿易摩擦に端を発して市況が急速に悪化した。2019年は、2018年後半の市況悪化の流れを引き継ぎ、月ベースでは前年割れで推移している。予測値作成時点では米中貿易摩擦やBrexit等、不透明要素を完全には払拭できなかったことに加え、2018年から既に顕在化していたスマートフォン関連需要の頭打ちなどもあり、半導体市場合計で前年比-12.1%と前年割れを予測した。2020年は、様々な懸案事項の解決に向けた何らかの進展を期待すると共に、データセンタ用設備投資の回復や5G導入に伴う様々なサービスの拡大、自動車の電動化・機能向上の継続などを考慮し、半導体合計で前年比+5.4%とプラス成長に回帰するものと予測した。US$1に対する円の為替レートは、2017年:112.1円、2018年:110.4円、2019年以降は110.2円を前提としている。

6月4日
NTT、241GHzの帯域を有するインジウムリン増幅器ICを開発、光通信に適用で1レーン当たり容量を約10倍に

NTTは241GHzの帯域を有する増幅器ICの開発に成功した。インジウムリン用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタ「InP–HBT」で実現したもので、。241GHzの帯域は世界で最も広帯域化を実現した。光通信への適用により、1レーン当たりの容量を約10倍に拡大することが見込まれる。増幅器ICは汎用性の高い基本素子。光通信、無線通信、計測器、レーダー、イメージングなどのさまざまな分野で利用されているが、近年、各分野での高速化や高分解能化にともない、より広帯域なアナログICが求められている。例えば、データセンタなどで使われるイーサネットなどの光通信では、1レーンあたりのアナログ帯域はCMOS DAC/ADCの帯域限界により20GHz程度に留まっている。これが通信容量の大容量化のボトルネックとなっていた。そこでNTTは、241GHzの広帯域化を可能とする新しい回路アーキテクチャ技術を適用した増幅器ICを、インジウムリン用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタ「InP–HBT」で実現した。

6月3日
東工大とNEC、高精度指向性の5G向けミリ波帯フェーズドアレイ無線機を開発、安価で量産可能なシリコンCMOS集積回路で

東京工業大学はNECと共同で、高精度指向性制御が可能な第5世代移動通信システム(5G)向けのミリ波帯フェーズドアレイ無線機を開発した。あらかじめ前信号処理を行うことで、従来実装が困難だった超高速/高分解能のAD変換器を使わずに、比較的低速度のAD変換器とカウンターによる位相検出回路によって、高精度なミリ波の振幅、位相の検出を可能にした。これにより、これまで位相検出に必要だった高精度アナログ量の検出を、CMOS回路の高い分解能に変換した上でデジタル的に処理できるようになり、小型の回路を用いた高精度な補償機構内蔵の5G向けミリ波フェーズドアレイ無線機が実現できた。5G向け通信機器での利用を想定して、2020年頃の実用化を目指す。

6月3日
昭和電工、7月1日以降納入分から電子材料用高純度ガス4製品を値上げ

昭和電工株式会社(森川宏平社長)は、半導体等の電子材料用に使用される高純度ガス4製品の価格改定を以下のとおり行うことを決め、顧客との交渉を始めた。対象製品は、高純度HFC-23(以下分子式、CHF3)、高純度FC-218(以下分子式、C3F8)、高純度六弗化硫黄(以下分子式、SF6)、高純度塩化水素(以下分子式、HCl)。4製品は採算を確保できない状況にあり、今後も製品の安定供給体制を継続するためには、コスト上昇分の値上げをせざるを得ないため。値上げ幅は、現行価格の15%以上。実施時期は2019年7月1日以降納入分より適用する。


2019年5月15日 (水)

■講演会 5月22日(水)15時30分

■今後の循環経済を見据えた希土類国際シンポジウム
日時:令和元年(2019年)5月22日(水) 15:30-18:00
主 催:今後の循環経済を見据えた希土類国際シンポジウム及びISO/TC298第4回総会合同組織委員会
共 催:東京大学生産技術研究所 持続型・エネルギー材料統合研究センター
協 賛(予定):一般社団法人新金属協会経済産業省国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、国立大学法人室蘭工業大学、東京大学生産技術研究所 非鉄金属資源循環工学寄付研究部門(JX金属寄付ユニット)、 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(順不同)
場所:東京大学生産技術研究所 コンベンションホール(An棟2階)
所在地:〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1
     https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/access/

 

●開会挨拶 15:30-15:35
 「希土類産業の今後の展望(仮)」
  宮地 誠 氏
  一般社団法人新金属協会 会長 
 
●講演 国際標準化の展望-15:35-15:45
 「ISO/TC 298 Rare Earth Standards and the benefits to industry sustainability」
  馬 存真 氏
  国際標準化機構第298専門委員会(ISO/TC298)議長 
 
特別講演 15:45-17:25
 「Responsible and Clean Production of Rare Earths is Essential for Sustainability」
  Dudley J. Kingsnorth氏
  Professor, Western Australian School of Mines, Curtin University
 
 「欧州の成長戦略としての希土類産業における技術革新、教育及び事業化のあり方(仮)」
  Karen Hanghoj氏
  CEO, Managing Director, EIT RawMaterialsGmbH Europa Center

 

「希土類の供給リスク-競争力を備えた産業及び持続可能社会に必要な不可欠な原材料として(仮)」
Roderick G. Eggert氏
  Professor and Interim Division Director, Economics and BusinessViola Vestal Coulter
  Foundation Chair in Mineral Economics at Colorado School of Mines
  Deputy Director, Critical Materials Institute

 

 「持続可能かつ包括的な技術革新を実現する希土類の利活用(仮)」
  岡部 徹 氏
  東京大学生産技術研究所 教授

 

パネルディスカッション 17:25-18:00
モデレーター:中村 崇 氏(東京大学)
パネリスト:Dudley J. Kingsnorth 氏(Curtin University)
  Karen Hanghoj 氏(EIT RawMaterials)
  Roderick G. Eggert 氏(Critical Materials Institute)
  馬 存真 氏(ISO/TC298)
  岡部 徹 氏(東京大学)
  増井 敏行 氏(鳥取大学)

 

使用言語:英語(通訳なし)

 

お申込み・問い合わせ:(一社)新金属協会
受付担当:中山千恵美
Tel:03-5405-2080
e-mail: nakayama@jsnm.or.jp

 

2018年8月23日 (木)

■金属時評見本誌










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2017年4月 8日 (土)

■金属時評本誌 インタビュー過去記事

■■インタビュー集

■トップインタビュー

2016年11月5日号

●RSテクノロジーズ 取締役事業本部長・本郷邦夫氏

今春、台湾に月産10万枚の300ミリ再生シリコンウエハー工場を新設したRSテクノロジーズ。全額出資子会社での生産が早くも、「フル稼働に迫る80%操業に入っている」という。台湾の世界最大のファウンドリ―企業のTSMCやUMCなどの生産は好調で、「すぐというわけではないが、早晩、増設することになるだろう」と話すのは、同社の本郷邦夫取締役事業本部長。半導体全般は、やや調整気味とみるが、DRAMが比較的調子が良いほか、市況が上向いている状況であり、目先はまずまずとみている。今年上期は、熊本地震の影響で、三本木工場はフル稼働となっていたが、下期はまだ見通せない状態。しかし、それ以上に台湾の隣の中国の動きに眼を光らせる。中国の半導体投資が「灼熱」状態化しているからだ。「300ミリ工場の立ち上がりに対応し、認定は逐次進めて行く。それに沿って、2018年頃には現地生産が必要になるかもしれない」(同取締役)と分析している

 

―WSTSが2016年春季半導体市場予測で、今年の世界の需要見通しを前年比2.4%減と見込んだほか、ここにきてTSMCが、今年の成長見通しを2%から1%程度に下方修正するなど、半導体景気はやや調整気味ですが。

 

本郷 世界的な半導体景気動向は、確かに余り良くはない。ただ、DRAMはまあまあの状態だと思われるし、DRAM市況も上向き傾向にある。「楽観」はできないが、目先はまずまずというところ。再生シリコンウエハー事業は、台湾が早くも80%稼働を達成した。

 

―ところで、中国の半導体ビジネスが活況を呈しています。2020年には5割の自給率を目指すという壮大な半導体国家計画が本格化しているためで、かつての太陽電池、ディスプレイに次ぐ「灼熱状態を」迎えているようですが。

 

本郷 今春、「武漢新芯集成電路製造」(XMC)は、湖北省武漢で240億ドルを投じたNAND新工場の建設に着手した。同社は、2030年にはNANDや3DNANDで東芝を凌駕すると公言しているようですね。これに代表されるように、300ミリウエハー工場の新設計画が目白押しである。台湾のTSMCが全額出資で中国に初めて単独で3700億円を投じて、南京に最先端の300ミリウエハーを流す半導体工場の建設に着手した。また、同UMCが福建省厦門で着工した300ミリ工場は今年12月から量産に入るとされるほか、Powerchipが合肥で300ミリ対応の工場を建設中であること、および米国のグローバルファウンドリーが四川省重慶に進出するなど、大手3社が中国で揃い踏みの300ミリ対応の半導体工場建設を競っている。最近、仕事で安徽省合肥に出かけたが、BOEが長さ2キロメートルにも及ぶ巨大な液晶ディスプレイの最新工場を建設していた。そのパワーには眼を見張る思いである。

 

―今年の8月初めに、そのXMCを巡る中国の半導体企業同士のM&Aとして初めての大型買収が行われ話題となりました。この買収劇は、中国の半導体設計大手の清華紫光集団が、国内半導体メーカー最大手の一つであるXMCの株式の過半を取得、「中国最大の半導体メーカーが誕生した」という出来事です。これによって、〝中国最大〟の半導体持ち株会社「長江存儲科技」が誕生しました。新資本金は189億元(約2800億円)になるということです。

中国は半導体を年間約2000億ドル(約20兆円)以上、輸入しており、2013年には原油を上回る中国最大の輸入商品となりました。しかも、半導体分野では世界最大の貿易赤字国でもあります。このため、ハイテク産業のシンボルである半導体産業の育成を最優先課題に掲げ、2020年までに自給率5割を目指した国家プロジェクトがスタートしています。

 

本郷 中国の半導体自給率を高める戦略のなかで、遅れているのがシリコンウエハーや半導体材料、半導体製造用の特殊ガス事業である。これらは、半導体ビジネスの研究開発にスペックインして、成り立つ事業である。そのため、現状では最先端の半導体工場がわずかしかないために、ほとんど育っていない。そのため、2020年の段階では半導体の50%の自給率に対して17~18%にとどまるとみられているようだ。

 実際、シリコンウエハーでは6インチ以下しか自給できていない。わずかにある8インチでも、かつて日本から進出した企業が撤退し、その後を引き受けた日本企業が量産している以外は、事実上存在していない状態。6インチまでは、海外の技術者を引き抜くほか、退職後のエンジニアなどの協力で量産化できたが、6インチから8インチへの「ハードル」が極端に高く、容易に超えられないとみられている。日本でも6インチから8インチへのステップアップには、高精度の品質管理が求められてきたので、その経験を踏まえると、中国の困難さは十分理解できる。

 

―中国では8ンチを飛び越して、12インチウエハーの量産化の動きが具体化しています。「上海新昇半導体」が、今年夏までに300ミリウエハーの製造設備を建設し、単結晶シリコンからプライムウエハーまでの一貫体制を構築し、月産5000枚での生産に着手したといわれます。

 

本郷 近く本格的に稼働するようだ。将来的には月産60万枚を目指すとのことだが、量産化の決め手は研究開発の持続力と研究資金が続くかどうかだとみている。韓国で先端ウエハーを量産している企業からも開発要員を集めているようだが、そう簡単ではない。ただ、今後は国内の300ミリウエハーラインが続々と立ち上がってくるので、採用するところが出てくる可能性もあり、注目してみている。

*(続きは、有料バックナンバーで)

 

 

■トップインタビュー

2016年9月5日号

●NECトーキン  代表取締役・執行役員社長 小山茂典氏

NECトーキンの再建を引っ張ってきた小山茂典社長。就任4年目の2015年に全事業門の黒字化を達成するなど、健全化にメドをつけた。この間、タイの洪水の影響もあって一時は大きく落ち込んだタンタル電解コンデンサー事業の立て直しに取り組み、売り上げの25%を占めるまでに見事に回復させたほか、車載用のリレー事業を世界標準に押し上げるなど、「確かな経営手腕」が輝きを放っている。ここにきて中期的に、タンタルコンデンサーを毎年10%増強し、2018年度に月産1億個への引き上げを計画するなど、主力事業の強化を図る一方、モーターを始めとして多様な産業分野でのアプリケーションが見込まれるナノ結晶軟磁性材料や薄帯から粉末製品化を狙う非晶質軟磁性材料などの新規事業分野への展開を打ち出した。同社長は固めの経営見通しを語るが、米KEMET社との協業をフォローの風にした再建策が功を奏し、縮小均衡から脱却した今、再生NECトーキンの拡大均衡への期待が高まってきた。

 

‐NECトーキン創業以来の厳しい状況下で、経営再建に取り組んで来られました。それから5年を経まして、昨年度は全セグメントで黒字転換を達成、今年は新たな第一歩を踏み出したわけですが、直近の収益状況を教えてください。

 

小山 2012年に社長に就任しましたが、その時が日本のパソコン、携帯電話などのジャンルでハードウエアメーカーがポジションを下げて行った時で、最も厳しい時期でした。そこから社員皆で頑張って、ドン底からは何とか這い上がってきて、2015年度に営業黒字転換を果たしました。それまでの「寝たきり」の状態からようやく「起き上がって、歩きはじめる」ことができた状態というところです。この成果から振り返れば、過去2012年ぐらいから積み重ねてきた改善は、概ね「的を得た」計画だったと思っています。

当社は、現在非公開なので決算は公開していませんが、昨年度の実績は、売上553億円、営業利益25億円です。営業利益率5%ですね。引き受けたときは、マイナスからの出発でしたが、2012年度からは改善を積み重ねた結果、一貫して毎年増収増益化できましたが、2015年度は、ようやくすべての事業分野で黒字転換でき、「全社的に前に進むことがみえてきた年だった」と位置付けています。

 

‐2011年には2度の未曾有の災害に国内外で見舞われ、この間、「耐えに耐え抜いた」と、拝察致しますが。

 

小山 この5年間は事業環境やマーケットの変化などにも晒されましたが、私が引き受ける前の2011年には東日本大震災があり、宮城県の工場も被災しました。当時、宮城県の工場の責任者でしたが、被災と同時にサプライチェーンも大いに痛み、顧客も含めて大きな困難に見舞われました。それに加えて同年の秋にはタイで大規模な洪水があり、当社のキャパシターの主力工場が1カ月以上、水に浸かり、全損となりました。当時、タイの工場の出荷額は全社売上の3分の1以上、利益ベースで50%以上稼いでいた工場が、「ゼロに帰した」わけですから、大きなインパクトでありました。

いずれの災害も、「何百年に一度」という頻度の天災ですが、先ほども言いましたように2011年後半から2012年にかけてが、当社にとって最も苦しい時期でした。東日本大震災では、被災した工場の責任者として、「従業員の頑張り」を目の当たりにしまして、この会社の仲間たちと会社を必ず復活させたいと思いましたし、それだけの価値のある事業だと思いを新たにしました。

タイの洪水でも、「従業員にとっては生活基盤を失うような」大きなことでありましたし、当社にとっても事業を奪われるような大災害でありました。当時、直接タイの事業に携わっていませんでしたが、マネジメントの上位案件として「再建に」に取り組みましたが、やはり現地を訪れ、この事業を何とか復活させたいとの強い思いを抱きました。

巡り合わせもあって、社長を引き受けましたが、今、振り返るとわずか1年の間に大きな災害が二つも重なる苦境のなかで、「何で引き受けたのか?」とも考えることもありますが、「皆で危機感を共有」しながら、ここまでやってきたことが、全セグメントで黒字化を達成できた原動力となったと思っています。その結果、被災した宮城やタイの工場も早期の復旧と新工場を立ち上げることができました。タイは、20年も地元に根付いた事業であり、翌年の夏にはタイ国内の新立地で操業再開にこぎ着けることができました。

 

‐東日本大震災だけでもエレクトロニクス関連メーカーの痛手は、相当なものでしたが、ましてやタイの洪水とまさに、「会社存亡の危機」でした。そこから社長のリーダーシップと全社の身を削るような努力の積み重ねで這い上がってきましたが、その成果が2015年度決算に結実しました。経営が上昇軌道に乗る一方、タンタルキャパシターやリレーなどでは、活況が戻ってきました。

 

小山 昨年度から伸長しているキャパシターやリレーなどへの投資に徐々に取り組み始めています。しかし、ここに至るまでには多くの地道な企業努力が積み重ねられています。それは、タイでは工場が2012年夏に操業が再開できましたが、ホッとするどころか新たな「困難」の始まりでした。半年以上供給が停止したわけで、再認定など、一からのスタートを余儀なくされまして、マーケットシェアを取り戻すのに、そこから1年半以上の長い時間が必要でしたから。ただ、20年来の工場を失いましたが、新たな工場の建設によって最新の機器の導入が行われ、生産体制を一新することができました。競争力を高める大きな推進力となりました。

 

‐まさに、「禍転じて福となす」ということでしょうか。洪水の直後は、タイでの工場再建は出来ないのではとの見方もありましたが。

 

小山 キャパシターの主力拠点でしたが、タイでの工場再建をすべきかどうか、悩んだ時期もありました。当時は、原料タンタルが急騰している時期でもあり、収益性が悪化していまして、工場としても大きな規模のケミカル部分を抱えていますので、再建のハードルは非常に高かった。しかし、世の中でこうした電子部品が必要であり、期待に応えられるテクノロジーも有していましたので、何としても再建したいという思いがありました。幸い、「災害保険」のなかに洪水被害が保障に含まれており、再建投資費用の多くを賄うことができましたことは幸運だったと思います。

新工場の再建によって、競合他社に比べて「半歩先を行く」テクノロジーを取り込むなど、その後、このことが十分な利益を取り戻すことに繋がりました。ただ、この間の業績改善の大きな要因は、スマートフォンやIT、自動車の電装化の一層の進展、その他様々な電子産業の上昇トレンドが追い風になったことでした。

こうした効果もあり、最近になって設備投資が再開できる基盤がととのってきてはいますが、この間の4~5年の間に他の日系電子部品メーカーはどこも、過去最高の利益を上げる状況となっていますので、それらと比較すると当社はまだまだ、道半ばであるといえます。

 

‐電子部品各社とも、スマホ一辺倒ともいえる戦略からウエアラブル機器、次世代自動車、IoT、ビッグデータと早やくも、構造転換を見越した事業転換に動き始めるなど、変化の兆しがみえ始めていますが、今年から来年にかけての事業見通しをどのようにみていますか。

 

小山 来年度に向けてやるべきことは、今年と変わらないということですが、市場動向としてはやや保守的にみています。この3~4年のように簡単に右肩上がりで伸びるとは考えていません。取り組んできた環境・エネルギー、自動車、医療などは一応、堅調ですが、一昨年や昨年までのような大きな伸びがあるかどうかは疑問。グローバルでの政治的、経済的、社会的な不安定性が強まっていることもあり、企業の投資意欲に影を投げかけています。今、ようやく全事業が黒字転換したところであり、余り高望みをせずに、来年度は売上で5%程度の成長を計画していますし、収益についても同様に「固めに」にみています。

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■トップインタビュー

2016年6月5日号

●株式会社三徳 代表取締役社長 岡田力氏 

「レアアースとレアメタル事業を基盤にした三徳のもつ高機能金属技術のポテンシャルを積極的にアウトプットすることによって、新たな事業化への糸口につなげて行きたい」と話すのは、株式会社三徳の岡田力社長。「これまで、どちらかというと社内にある潜在的な技術力を外部に向けて発信するということは少なかったのですが、昨年の大阪と今年4月に東京で開催された高機能金属展に出典しました。展示会への参加は、久しぶりのことですが、持てる技術を多様な形で外部に提案することによって、中期的に製品化・事業化展開を加速しようと考えており、展示会への参加もそうした思いの一環です」と、社外に向けて〝チャレンジする三徳〟を前面に打ち出す。一方では、和歌山レアアースを傘下に収め、既存事業の強化拡大に加えて、「C」(炭素)から「H」(水素)へのグローバルなエネルギー転換の動きを捉え、国家戦略への積極的な参加、或いは大学との連携、企業間の提携など、多面的な企業活動を展開する方針を語る。中期事業戦略を軸に事業の柱であるレアアース、レアメタルの動向、さらには関連事業の現状と今後の見通しなどを岡田社長に聞いた。

 

 ―昨年から中期5カ年計画をスタートし、その1年目に早速、ネオジム磁石合金の事業戦略強化の一環として、新日本電工グループとの間で和歌山レアアースの譲渡契約を結び、昨年11月には子会社化を完了、磁石合金事業のボリュームを大幅に拡大、国内最大手の地位を一段と強化しました。

 

岡田 日本電工と中央電気工業の経営統合により、新日本電工グループを立ち上げられるなかで、事業の選択と集中に踏み切られた結果、弊社にネオジム磁石合金事業譲渡の打診があり、昨年、中央電気工業・和歌山工場のネオジム磁石合金事業を切り出し、和歌山レアアースを設立、譲渡の具体的な交渉を行ってまいりました。その結果、昨年11月には最終合意に達し、後に公正取引委員会の了解を経て、弊社が80.73%、双日が20%弱の出資比率で、和歌山レアアースを弊社の子会社化しました。弊社の培ってきたネオジム磁石合金事業と和歌山レアアースの有している製造技術を融合、国内外での事業経験を生かした「シナジー効果」を発揮し、グローバルでの事業拡大に結びつけていきたい。

 

―子会社化の直後、和歌山レアアースの資本金を1億円から3億5000万に増資、事業体制の整備にも取り組んでいますが、今回の新たな国内拠点の確保に加えて、予ねてから展開している中国でのネオジム磁石合弁事業を併せて、グローバルな供給体制が大幅に拡大します。

 

岡田 和歌山レアアースの子会社化で、弊社グループのネオジム磁石合金事業のウエイトトが大幅に拡大し、売り上げに占める比率も大きくなります。中国内事業は、一昨年、能力増強を行い、需要増への対応を図りましたが、残念ながら2015年は中国市場が低迷しており、弊社の合弁事業もぎりぎり黒字を計上する業績にとどまりました。

そうしたなかで、磁石合金事業での今年の課題は、和歌山レアアースと弊社の技術の相乗効果を発揮し、「両社の顧客に対して、統合のメリットをどのように還元して行くのか」ということにあると思います。この課題に対して、スピード感をもって取り組むことにしています。新日本電工グループからは、中央電気工業がベトナムに進出、設立したレアアースのリサイクル事業譲渡の打診もありましたが、弊社は国内で独自のレアアース、レアメタルリサイクル技術を有していまして、他社技術を導入したベトナム工場とのマッチングは難しいと判断しましたほか、弊社の有していますマンパワーの面からも、あまりにも過大かなとの思いもありましたので、お断りしました。

 

―中期計画の初年度から、〝岡田流〟の積極経営がヒットしていますが。

 

岡田  中期経営計画では、5年で「安定的、持続的に成長する」ことが大きなテーマです。また、これまで展開してきた事業の「収穫期」と位置づけています。同時に次の戦略事業への種まきを行う。さらに、エンドレスの課題である財務体質の改善を図り、次の投資に備えるということが狙いになります。

 

―環境・エネルギー関連での御社のポテンシャルは、ジルコニウム系触媒材料などの排ガス触媒用材料、磁気冷凍材料、最軽量マグネシウム合金、燃料電池材料、AB5やBCCといった水素吸蔵合金、空気電池用陽極触媒など、非常に高いものが揃っています。

 

岡田 これらの製品を成長の原動力に据え、中期計画で事業の柱に育て上げることが目標となっています。そのためにも、外向きの提案を積極的に推進することに力を入れ始めているところです。久し振りの展示化への出展もそうした狙いからです。実際、展示会を通じて思わぬ企業からの問い合わせや依頼なども舞い込んでいます。

 

―将来的な世界のエネルギー供給の動きが、「炭素」(C)から「水素」(H )へ舵を切り始めていますが、これらの新規分野でレアアース、レアメタルの新たな出番を期待させる研究も広がっています。水素社会を目指し、国家戦略として推進している燃料電池開発では、電池の大幅なコストダウンが普及への一里塚となります。

 

岡田 低コスト燃料電池に不可欠な白金代替技術として、助触媒にランタンやセリウムを使った研究開発が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によって進められています。弊社も燃料電池関連では、炭化水素の水蒸気改質触媒、アニオン伝導固体電解質などの開発を行っており、これらの潜在的な力を製品化に向けて、多様な取り組みを目指すことにしています。

また東芝などが、風力発電などの自然エネルギーを活用、この電気で液化水素を製造し、燃料電池向けの供給を行う実証実験が始まっています。そこでは、製造後の水素の輸送手段として液化水素ボンベが使われていますが、どうしても体積が大きくなってしまうという課題があります。弊社の得意とする水素吸蔵合金を使えば、「コンパクト化」が実現します。レアアースを活用した高容量で高機能な水素吸蔵合金への研究開発の推進は、水素社会の発展にとって大きなインパクトを持っていますので、活用を期待しています。また、リチウムイオン二次電池用正極材を事業化していますので、電力貯蔵分野での潜在力を有しています。

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■R&Dインタビュー

2015年12月25日号

●国立研究法人物質・材料研究機構 関口隆史グループリーダー

世界初のシングルシードキャスト法で、「高品質」、「低価格」の単結晶シリコン(モノシリコン)成長に成功

世界の太陽光発電ビジネスは、供給過剰な低品質多結晶シリコンをダンピング戦略で世界に〟垂れ流す〟中国に席巻され、日、独などの有力企業が撤退に追い込まれたほか、事業環境は低収益を迫られている。かつては世界のリーダーだった我が国が、太陽光発電ビジネスの主導権を中国から取り戻すには価格競争力のある結晶シリコン太陽電池技術を開発することが必要不可欠である。この目的に沿って、2010年度からNEDOプロジェクト「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」が開始され、「高品質」、「低価格」の単結晶シリコン(モノシリコン)の育成を柱とした太陽電池技術の研究が推進されてきた。ここにきて、NEDOプロジェクトで従来の鋳造法に比べ、太陽電池向けモノシリコン結晶の品質を飛躍的に向上することに成功したのが、国立研究法人物質・材料研究機構MANAナノエレクトロニクス材料ユニットグループの関口隆史グループリーダーと九州大学の柿本浩一教授らの研究グループ。我が国の巻き返しの期待が高まる「シングルシードキャスト法」によるモノシリコンの開発に取り組んできた物材機構の関口隆史チームリーダーに新生産プロセスの優位性や将来性などについて聞いた。

 

世界に先駆けて開発したシングルシードキャスト法は、従来の鋳造法に比べて太陽電池向けモノシリコン結晶の品質を飛躍的に向上、シリコン太陽電池の高効率化とコストダウンが見込めるほか、結晶中の酸素濃度を6ppmにまで大幅に低減、FZ(フローティングゾーン)法シリコン単結晶に迫るパワーデバイス向けの大型結晶の供給への期待が高まってくるなど、太陽電池向けのみならず、我が国が世界をリードするパワーデバイス向けへの発展が予想されていますが。

 

関口 太陽電池の主流であるシリコン系太陽電池は、変換効率が20%に達しており、今後の開発は、付加価値を高めるために、一段の高効率化が求められている。一方、汎用の低価格太陽電池には、MC-シリコンと呼ばれる多結晶シリコンが使われているが、変換効率が16%から18%と1割から2割低い。

高品質、高変換効率の太陽電池としては、半導体シリコン単結晶(CZシリコン)を使って、変換効率20%を超える製品が製造されているが、多結晶シリコンに比べると価格が大幅に高いことが課題。しかし、従来の鋳造多結晶シリコンではこの目標値を実現することが不可能である一方、半導体用の無転位単結晶シリコンでは価格競争に勝ち残れないため、多結晶シリコン、半導体単結晶シリコンに代わる「第3のシリコン材料」の開発が望まれていた。

そこで、この問題を解決するため、NEDOプロジェクトで種結晶を使ったシリコンの鋳造法である「シングルシードキャスト法」を新たに開発し、結晶の品質が良く不純物の少ない単結晶シリコン(モノシリコン)インゴットを育成することに取り組んできた。開発した新たな鋳造法は、るつぼの中でシリコンを溶解し、小さな種結晶から大きな単結晶を成長させる技術で、半導体シリコン単結晶の作成法に比べて、原料コストと製造コストの両面でのコストダウンが可能である。

 

シリコン結晶の溶解には、一般的に石英坩堝が使われますが、坩堝の材質は何を使われているのでしょうか。今後、さらに大型結晶化へ向けたルツボの課題は。

 

関口 坩堝には石英を使っている。現在、多結晶鋳造用に1メートル角の坩堝も製造されているので、石英坩堝に関しては技術的な困難さは、あまりないと考えている。

 

多結晶シリコンでは、高純度の金属シリコンが使われますし、半導体CZシリコン単結晶ではイレブンナインの超高純度多結晶シリコンが原料となります。今回のモノシリコン結晶成長は、投入原料として何を使われているのでしょうか。

 

関口 半導体CZシリコンの端材が多い。高純度金属シリコンを使う場合には、ボロンやリンの濃度がわかっていることが条件となる。補償が大きいものは、効率を上げるのは難しいと思う。

 

シングルシード法による高品質モノシリコンの主要な成長条件は、3次元的なきめ細かな温度管理とも推測できますが、量産化にも向く技術なのでしょうか。

 

関口 電気炉の熱設計が最適化されれば、あとはプログラム通りの温度履歴で結晶ができるところが一番の特徴である。鋳造法は、高温で溶解したシリコンを坩堝の中で固化させるもので、半導体材料として用いるCZ法やFZ法と違って、結晶育成中に監視する必要がないため人件費が省けるなど、製造コストの低減が可能。開発したシングルシード法は、種結晶を坩堝底全面に敷くのではなく、中心に置いた一個の種結晶から大きな単結晶を成長するもので、原料コストを抑えることができる。

 

今回試作に用いた設備で50センチメートル角のモノシリコンインゴットまでの成長が可能とされているほか、一般的な太陽電池の量産ラインへ組み込むことができるとされていますが、種結晶を含めた一回当たりの原料投入量と結晶の成長速度を教えて下さい。

 

関口 原料投入量は、50センチメートル角のモノシリコンが得られる結晶の厚みが10センチメートルで約60キログラム、20センチメートル高さでは約120キログラム。結晶の成長速度は、通常の鋳造結晶と同程度である。

 

電力必要量は一回当たりどの程度なのでしょうか。また、それは多結晶シリコンの一般的な製造法であるシーメンス法や半導体単結晶シリコンの製造法のCZ法と比べ、削減可能でしょうか。

 

関口 多結晶シリコンの鋳造炉に準じた電力を投入している。シード法モノシリコンは溶解時に、多結晶を成長させる場合より少し長い時間をかけるので、その分電力は少し増加する。コストダウンは、断熱性能を更に強化し最適化することで可能と思う。

CZ炉では、結晶育成に伴って融液量が減少するのでパワーを増大させる必要があるのに対し、鋳造炉では、結晶育成に伴ってパワーを減少させて行くことや、一度に、CZ炉の約10倍の大面積の結晶を育成することができることなどで、電力的には有利である。(50cm角の場合、約10倍)

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■R&Dインタビュー

2015年11月25日号

東京大学生産技術研究所 増野敦信助教

「鋼に近い高弾性」、「高屈折率」を発現する酸化物ガラスで、ニューガラスのフロンティアを切り開く

これまでガラスにならないと思われていた、酸化アルミニウム(AlO3)と酸化タンタル(TaO5)のみからなる新しい組成のガラスの世界初の合成に成功したのが、東京大学生産技術研究所 増野敦信助教。得られたガラスは無色透明で酸化物ガラスの中で最高の弾性率を有している。局所構造解析を行ったところ、アルミニウム原子周囲の構造が、一般的なガラスとは大きく異なること、そしてその結果として、充填密度が非常に高くなり、極めて高い弾性率となっていることを突き止めた。開発したガラスは「ガラスよりも、鋼に近い値」を示しており、薄くしても丈夫な新素材として、エレクトロニクス用基板、建築材料、カバーガラスなどへの応用が見込まれている。同助教は、アルミニウムータンタル以外にも、希土類ーニオブ、希土類―チタン、希土類―アルミなど一連の“ニューガラス“の開発でも成果をあげ、類をみない高屈折率ガラスとして企業との共同研究を経て、商品化に動き始めており、一躍脚光を浴びている。英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」にも掲載された今回の成果について増野助教に聞いた。

 

―これまで、酸化アルミニウムを主成分とする単純な組成ではガラス化しないとされてきましたが、今回、成功したポイントは。

 

増野 酸化アルミニウムと酸化タンタルとをほぼ1:1の組成で混ぜ、無容器法を適用することで、無色透明なガラスにすることができたところである。具体的には、酸化アルミニウム粉末と酸化タンタル粉末を予めほぼ1:1で混ぜて固めたものをノズルからガスで送り込み、浮遊させながら炭酸ガスレーザーを照射することによって合成した。

 一般的なガラス合成法においては、ガラス化を阻み結晶化を促進する最大の要因は、容器壁面からの不均一な核生成である。無容器法では物質を空間に浮かせた状態で合成を進めるため、壁面からの不均一核生成が極限まで抑制される。その結果、ガラスになりにくい組成でも比較的容易にガラス化することができる。

無容器状態を実現するために、今回はガス浮遊炉を用いた。円錐形のノズルから試料に対して下から鉛直方向にガスを吹き付けることで、試料を浮遊させたまま保持し、炭酸ガスレーザーを照射して試料を2000℃で溶融、合成することができた。

 

―ガラス化する酸化アルミニウムと酸化タンタルの組成変動は。どの程度まで可能でしょうか。

 

増野 理想的な組成は、ほぼ1:1である。上下5%以上組成が振れると、ガラス化しない。

 

―酸化アルミと酸化タンタル粉末は、高純度のものが必要ですか。また、粒子径は。

 

増野 今回は酸化アルミニウム、酸化タンタルともに市販の試薬級(99.9%)を使ったが、レンズなどの高級なものでは高純度であることが要求されるかも知れないが、スマートフォンのカバーガラスなどでは、ある程度の純度があればガラス化への影響はないものとみている。溶かしてしまうので粒子径も特別にそろっている必要はない。

 

―今回、合成して得られた酸化物ガラスは直径が2.5ミリメートルの球体ですが、サイズはどの程度まで可能ですか。また、量産性は。

 

増野 ガス浮遊炉を利用した無容器法の場合,ガラス化しやすい組成なら最大で10ミリメートル程度までは作ってみた。レンズのような用途であると、この大きさ程度でもそのまま使える分野もあるだろう。また、スマートフォン用のカバーガラスなど比較的大きな用途では、球体ガラスを多数作って型に入れ、ガラスが軟化する程度の温度まで高めて圧力をかけて焼結すれば、利用可能な状態を形成できるとみている。

 量産については、そこまで考えていなかったが、カバーガラスなどを作るためのいくつか別のプロセスも試そうとしている。

 

―コスト的にはいかがですか。

 

増野 装置と原料代を別とすれば、ランニングコストは僅かな炭酸ガスレーザーの電力だけなので、安価に製造することができることが特徴だ。

 

―安価で製造可能、しかも高弾性、無色透明ですから「非常に丈夫なガラス」として、幅広い分野で応用製品化が期待できそうですね。

 

増野 薄くしても丈夫な新素材として、エレクトロニクス用基板、建築材料、カバーガラスなどへの応用が見込める。

なんといっても、酸化物ガラスの中で最高の弾性率を有している。局所構造解析を行ったところ、アルミニウム原子周囲の構造が、一般的なガラスとは大きく異なること、そしてその結果として、充填密度が非常に高くなり、極めて高い弾性率となっていることを突き止めた。例えば、弾性率のひとつであるヤング率は160ギガパスカル(GPa)に達したが、これは酸化物ガラスの中で最も大きな値である。典型的な酸化物ガラスの場合は80GPa程度、鋳鉄は152GPa、鋼は200GPa程度であることと比較すると、今回新たに合成したガラスの弾性率は、ガラスよりも鋼に近いことがわかった。

 

―高弾性のメカニズムは、どうして発現したのですか。

 

増野 走査型透過電子顕微鏡(STEM)でAlとTa原子の分散状態や核磁気共鳴(NMR)でAl原子核の局所環境についての解析を行った。その結果、AlとTaが原子レベルで均一に分散していること、そして周囲の酸素の数が5であるAl原子の割合が非常に多いことがわかった。通常の酸化物ガラス中に酸化アルミニウム(AlO3)を少量添加した場合は、ほぼ4配位になり、5配位は珍しい局所構造である。

その結果として、このガラスは全体的に隙間無く密につまっていた。また、こうしたAl原子周囲の特異な局所構造は、Taという元素によってもたらされたということを提案した。AlO3-TaO5ガラスで見られたAlやTaの特徴的な振る舞いは、従来のガラス形成則の考え方からは大きく逸脱しており、そのため今回開発した高弾性率ガラスは、本質的に新しいタイプのガラスであると考えている。ガラス科学における定説に反して、今回、酸化アルミニウムと酸化タンタルのみを組成とするだけでもガラスができるになることを示した。

これはガラス科学にとって新たな材料空間が発見されたといえる。加えて、Al周囲の局所構造を制御することでさらなる新材料を生み出せる道筋が見つかった。今回の成果によって、古典的ガラス形成則を超えたところに、新しい“高充填密度”ガラスの領域があることがわかった。

 

―2013年に発見したランタンーニオブ、ランタン―チタン、ランタン―タングステンなどの一連の高屈折率ガラスへの産業界の期待も大きいようですが。

 

増野 今回の成果と同様、これまでガラスにならないと考えられていたランタン酸化物(La2O3)とニオブ酸化物(Nb2O5)のみからなる組成の新しい2種類のガラスを開発した。2種類のガラスはLa2O3の含有量が多いものとNb2O5の含有量が多いものとがあり、いずれも無色透明で、かつ2.12.2という極めて高い屈折率を示した。

 

―高屈折率ガラス実用化の見通しは。

 

増野 このガラスの光学特性は極めて優れており、超高精細、高解像度を実現する光学レンズとしての応用が期待される。2013年に発表した時は、多くの光学ガラスメーカーから共同開発の声をかけていただいた。現在進行形のものがあるが、秘密保持契約があるので多くは言えないが、商品化される時期も遠くないだろう。他の商品と差別化を図った高機能、コンパクト、高付加価値分野で実用化を目指している。

*(続きは、有料バックナンバーで)

 

 

■新春インタビュー■

2015年2月5日号

株式会社 メタルドゥ 相談役 藤田國廣氏

 

●・・・日本の景気の立ち直りは、意外と早い      

「今年の景気見通しは?」と聞かれても、答えは非常に難しいと思う。しかし、こうだと言い切れる根拠があるわけではないが、一言でいえば、「そんなに悪い経済環境ではない」とみている。それと「意外と立ち上がりは早いのではないか」と考えている。

足元はレアメタルを含めた銅、鉄、プラスチック、原油などすべてのコモディティ価格が下がってきており、レアメタルの価格も大きな影響を受けている。マクロ的には世界経済の後退局面を迎えているばかりか、政治的にはフランスのテロ事件、ロシアへの制裁、中国経済のリセッションや原油価格の下落など、挙げたらきりがないほど、不安定要因は目白押しだ。しかし、人間誰しも50年前のことは忘れてしまっても、5年前のリーマンショックを忘れたわけではないと思うだけに、これらの政治、経済課題をその都度織り込みながらバランスしようとして行くと考える。

 

●・・・2月期決算は売上、利益ともに数十パーセント増の大幅増収益となる見通し

市況下落局面では在庫は「先入れ後出し」となり、一時的に負担は増すが、現状当社の業績は順調に拡大している。2月期決算見通しは売上、利益ともに数十パーセント増の増収増益となる見通し。当社の世代は変わったが次期決算も増収益を期待している。景気の波は常に繰り返しくることは避けられない。昨年来資源価格の下落が続いているが、市況が下がれば、いずれ底を打ち上昇に転じるし、上げ相場といえども必ず天井を打つ。

どこかに必ず「ターニングポイント」があることは変わらない。確かに、その時々の「在庫のポジション」や「売買ポジション」という経営的な部分もあるが、中期的なスパンで見れば市況が下がったほうが良いこともある。いたずらにばたばたせずに、「ピンチ」は静かに受け止め、しっかり自分たちの足元をみつめながら、適切に手を打てば逆に「チャンス」を呼び込むことができる。社内でも、こうしたことを常々言ってきている。

●・・・国内最大のレアメタルリサイクル事業は、「小ロット・多品種」

大手非鉄メーカーさんのように銅や鉄のリサイクルのような大型の設備投資を行い、長期に資本を寝かせるような長期的な事業展開は、当社はなかなかできない。国内のレアメタルリサイクル市場もそうした巨額の資本投下をするようなボリュームのスクラップが集まるものではない。

レアメタルに限ってみると、当社は「国内最大級」のリサイクルシェアを有している。月間3000トン前後のスクラップを扱い、現在の評価で150億円前後の業態である。

金属リサイクル事業は、鉄や銅やアルミのような大規模な事業とコバルトやニッケル、チタンのようなレアメタルの事業に二分されている。それだけにレアメタルはニッチで要求精度の高い仕事といえる。半面、大手さんが人、モノ、金を、技術を投じるようなリサイクル金属と異なるところであり、逆に大手さんが入り難いところでもある。

当社は、レアメタルのなかでもニッケル、コバルト、チタン、タンタルなどを軸にレアメタルに特化した事業展開を続けてきている。扱い品目は細目すれば数百種類に達するが、レアメタルのリサイクル産業規模は大きくない。それだけに、「小ロット・多品種」を武器に、大手企業が参入し難い領域で我々の活躍の余地があるということを念頭に企業価値の最大化を目指している。

 

●・・・経営ポリシーは、「安定供給」と「安定価格」戦略

スクラップとバージン品とでは、サプライチェーンが大きく異なる。スクラップは製造原価がある商品ではないが、バージン品に対しては必ず価格メリットがある。このスクラップの特質を事業に結実し、「安定供給」、「安定品質」、「安定価格」そして「多品種」を前提にした事業展開を続けており、これが当社に対する「需要家の信頼」につながっていると思っている。スクラップの顧客は主としてバージン品を使い、然る後にスクラップを使うケースが大半。こうした背景を事業に組み込み、具体的には、スクラップで供給が難しい局面ではバージンを使用するという逆の方向に事業を考えたい。当社はスクラップと共にプライマリー品も扱っている。スクラップを軸に材料の供給を絶やすことはなく、ニーズがあれば、どのような形態でも販売するということが当社の経営ポリシーだ。

(談)

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