■金属時評最新ニュース 週間速報版

■■金属時評■
  「レアメタル」と「レアアース」の素材から
「アプリケーション」までの最新ニュースを伝える金属時評!!

■創刊:昭和33年11月15日 
■発行日:毎月5日・15日・25日 B5版16頁 

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■金属時評 週間速報版
*2020年
7月6日~(週間)
7月6日
NEDOとシャープ、高効率な太陽電池セルを活用し電気自動車用太陽電池パネルを製作、太陽電池活用による充電回数ゼロを目指して1kW超の定格発電電力を達成

NEDOとシャープは、NEDO事業で開発した世界最高水準の高効率な太陽電池モジュール(変換効率31.17%)と同等のセルを活用し、電気自動車用太陽電池パネルを製作した。このパネルは、1kWを超える定格発電電力を達成し、走行距離や走行時刻などの利用パターン次第では、年間の外部電源からの充電回数をゼロにできると試算されている。今後は、航続距離や充電回数などを評価し、車載用太陽電池の普及活動に生かすとともに、太陽電池の新規市場創出とエネルギー・環境問題解決を目指す。

7月6日
南ア・Amplats Mogalakwena白金族鉱山、水素燃料トラックのパイロット試験を2021年に開始予定

JOGMECによると、Anglo Americanは、鉱石運搬トラックのディーゼル燃料を水素燃料に切り替える計画を進めている。2021年にはパイロット試験を南ア・Anglo American Platinum(Amplats)社のMogalakwena白金族鉱山にて開始し、上手くいけば同社の他鉱山にも展開し、400台以上の鉱石運搬トラックを水素燃料に転換する構想である。業界において温室効果ガスの削減が強く求められる中、同社は今後10年間で、2016年を基準として30%以上の削減目標を打ち出している。同社のスポークスマンMarais氏は、「ゼロエミッションの新たな道筋を示す技術を開発している」と語った。

6月29日~7月3日
7月3日
産総研、強誘電体の傾斜したバンド構造を観測、高速、大容量のFeRAMや人工シナプスの開発へ

産業技術総合研究所(AIST)は、大型放射光施設(SPring-8)の高輝度X線を用い、広角対物レンズを取り入れた新型の硬X線角度分解光電子分光実験により、強誘電体の電気分極に由来する傾斜したバンド構造の観測に成功した。強誘電体は自発的な電気分極を持つ。そのため電荷を蓄えられ、さらに電気の流れ方を制御できる。この物性の起源は傾斜したバンド構造にあるとされている。しかし、傾斜したバンド構造の実証がなされずにデバイスの開発がなされてきた。実験で用いた装置は、1μm程度に集光させたX線を試料にピンポイント照射できる。また、局所領域における試料表面から深い部分にかけて八方に飛び出す光電子を角度(深さ情報)に対してワンショットで取り出し可能だ。この測定手法を、電気分極が単一に配向した強誘電体薄膜に適用し電圧を印加することで、強誘電体に傾斜したバンド構造があることを初めて実証した。強誘電体の傾斜したバンド構造の実証は、強誘電体を使った不揮発性メモリー(FeRAM)や人工シナプスの開発加速につながる可能性がある。

7月3日
国連貿易開発会議、EVバッテリー用原材料需要に関する報告書を発表

JOGMECによると、国連貿易開発会議(UNCTAD)は新しい報告書「COMMODITIES AT A GLANCE -Special issue on strategic battery raw materials-」を発表した。報告書によると、エネルギー源としての石油の重要性が後退するため、電気自動車(EV)用の充電式バッテリーの製造に使用される原材料の需要が急速に高まる見通しである。充電式バッテリーは世界的な低炭素エネルギーシステムへの移行において重要な役割を果たし、製造に使用される原材料が持続可能な方法で調達及び生産されれば、温室効果ガスの排出量の削減に寄与するとしている。なお、リチウムイオン電池(LIB)用カソードの世界市場は、2018年には7bUS$と推定され、2024年までに58.8bUS$に達すると予想されている。一方で、報告書では、充電式バッテリーの製造に使用される原材料の付加価値の大部分は、その原材料の生産国以外で生み出されているとしており、さらに原材料の生産が社会及び環境に与える影響に光を当て、取り組む必要があることを強調している。

7月2日
富士経済、CO2分離・カーボンリサイクル関連市場調査-2030年予測(2019年比)―
■CO2分離・カーボンリサイクル関連の世界市場は5兆6,928億円(17.2%増)へ拡大
■CO2分離量は各分離技術の進展により、8億9,242万t‐CO2(16.9%増)へ拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町清口正夫社長)は、大幅なCO2削減が求められ、注目度が高まり、開発が進むCO2分離・カーボンリサイクル関連の世界市場を調査した。その結果を「カーボンリサイクル CO2削減関連技術材料市場の現状と将来展望 2020」にまとめた。この調査では、CO2分離技術5品目、CO2分離材料5品目、CO2利活用13品目、CO2原料ソース7品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。

7月2日
米テスラ、第2四半期の引き渡し台数が9万台超 市場予想上回る

外電によると、米電気自動車(EV)メーカー、テスラの第2四半期(4~6月)の世界納車台数が9万0650台となった模様。第1四半期(1~3月)の納車台数は約8万8400台だった。堅調な引き渡し台数によ、り第2四半期は史上初の4四半期連続黒字を達成する可能性が高いという。
7月2日
ベトナム・Masan Resources社子会社、独HC Starck社からタングステン事業を買収完了

JOGMECによると、ベトナム資源開発会社Masan Resources(MSR)社子会社のMasan Tungsten Limited Liability Company(MTC)が、独HC Starck社のタングステン事業買収を完了したと地元メディアが伝えた。これにより、MSR社の事業規模は、従来の3.5倍となる4.6bUS$が見込まれている。HC Starck社のタングステン事業は高品質タングステン粉末の開発製造分野では世界有数で、MSR社は世界トップのタングステン製品供給メーカーになることを目指している。なお、6月30日付け地元メディアによると、同社の本事業買収に係る投資額91.5mUS$は、2020年上半期(1~6月)のベトナム全体の海外投資額の約41%にあたり、同国第1位の海外投資案件であった。

7月2日
NEDO・阪大・ヤマザキマザック・島津製作所、従来比6倍速で銅コーティング可能な青色半導体レーザー複合加工機を開発

NEDOは、高輝度青色半導体レーザーおよび加工技術の開発に取り組んでおり、今般、大阪大学、ヤマザキマザック(株)、(株)島津製作所と共同で、高輝度青色半導体レーザーを活用し、銅を高速・精密にコーティングできるハイブリッド複合加工機を開発した。開発した加工機は、200W高輝度青色半導体レーザーを3台装着した600W級マルチビーム加工ヘッドを搭載することで、レーザー集光スポットにおける高いパワー密度が達成でき、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料への銅のコーティング速度が従来に比べて6倍以上に向上した。これにより人が接触する金属製の手すり、取っ手やドアノブなどに銅をコーティングすることで、細菌・ウイルスによるリスクを低減する公衆衛生環境の実現や、航空・宇宙・電気自動車などの産業で必要とされる高精度な部品加工への活用も期待できる。

7月2日
東大、熱水排熱を長期に蓄えられる蓄熱セラミックスの開発に成功、熱水からの熱エネルギーを吸収し、圧力を加えて放出

東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授らの共同研究グループは、38℃から67℃までのお湯あるいは熱水の熱エネルギーを永続的に蓄えることができる長期蓄熱セラミックスを発見した。この新物質はスカンジウム置換型ラムダ五酸化三チタン(λ-ScxTi3-xO5)という物質で、熱水などの100℃以下の熱のエネルギーを蓄えられ、圧力をかけることでその蓄熱エネルギーを取り出すことができる。このような低温排熱対応の長期蓄熱セラミックスは、火力発電所や原子力発電所などで排出される熱水の熱エネルギーを蓄えるのに有効で、工場や自動車からの廃熱を再利用するための素材としても期待される。

7月1日
日東精工、異なる金属同士を強固に密着させる新技術を開発

日東精工は、上市している異種金属接合技術のAKROSE(アクローズ)の密着性をさらに向上させた「AKROSE HYBRID」を開発し、2020年10月からの販売する。同製品は拡散接合が難しい材料にも対応し、強固に異なる金属同士を密着させる。AKROSE HYBRIDは、冶金的接合である拡散接合をAKROSEに加えたハイブリッド接合技術となる。接合材料に適した条件でAKROSEで接合された部品を熱処理し、接合界面での原子の相互拡散を生じさせ、原子レベルまで接合界面の密着性を向上する。適用材質はアルミニウム、銅で、部品サイズは軸径φ3~φ10mm。部品形状は、板部と軸部からなる形状となる。2021年度に月産100万本の出荷を目指す。

7月1日
DRコンゴ:東部のコルタンの採掘鉱山にて地元鉱山警察と採掘者との間で武力衝突

JOGMECによると、DRコンゴ東部のNorth Kibu州のコルタンを採掘する鉱山にて、地元鉱山警察と採掘者との間で武力衝突があり、死者3名を含む死傷者が出ていると地元メディアが伝えた。同鉱山は、地元中小企業のSMB社が鉱区を持ち、零細採掘者によって採掘されたコルタン(タンタルに富む)を収集・販売している。2020年6月2日付国連Security Councilの専門家グループによるDRコンゴの調査報告書で、同社現場におけるコルタンの密輸の実態が報告されていた。

7月1日
5月の鉱工業生産指数は前月比8.4%低下の79.1と、4カ月連続のマイナス

経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数は前月比8.4%低下の79.1と、4カ月連続のマイナスとなった。低下率は市場予想(5.9%低下)を上回った。基調判断は、生産は「急速に低下している」に据え置かれた。製造工業生産予測調査によると、6月は前月比5.7%上昇、7月は9.2%上昇見込み。前月比マイナスは4カ月連続で、水準は2015年基準では最低を更新した。全15業種が減少し、特に自動車、液晶製造装置など機械、鉄鋼が新型コロナウイルス感染拡大の影響による受注減で減少。4月よりも幅広い業種で減産が進んだ。経済産業省は生産の基調判断を「急速に低下している」として据え置いた。自動車の大幅な生産調整が「川上の広い業種に波及している」(経産省幹部)という。

7月1日
東京大学に「次世代ジルコニア創出社会連携講座」を設置

東京大学に「次世代ジルコニア創出社会連携講座」を設置、夢の新素材の研究と人材育成に向けて、従来のセラミックス素材の概念を覆す、ジルコニアセラミックスの飛躍的な特性向上実現とその技術分野を支える人材育成を目的に次世代ジルコニア創出社会連携講座を7月1日に設置した。ジルコニアは様々な分野で実用化されているが、その機能発現のメカニズムには未解明点が多く残されており、材料特性を決める因子を解明し、原子レベルから組織を制御することで飛躍的に機能が向上する可能性がある。

2020年6月 9日 (火)

■レアメタル研究会開催 7月17日(金)コロナ感染症を配慮しオンライン開催を予定

レアメタル研究会関係各位

向暑の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
今年度第1回目となりますレアメタル研究会(第91回)を開催いたしますので、
ご案内を申し上げます。
関連あるいはご興味をお持ちの企業関係の皆様に、ご紹介いただけましたら幸いです。

このたびは、Zoomを利用したオンラインでの開催を予定しております。
事前登録制にて承りますので、参加希望の方は7月16日(木)17:00までにお申し込みをお願いいたします。
申込者には、当日までにZoomのURL及び配布資料ダウンロード用URLお知らせいたします。

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<レアメタル研究会>
■主  催: レアメタル研究会
■主 宰 者: 東京大学生産技術研究所 教授 岡部 徹
■協  力: (一財)生産技術研究奨励会(特別研究会 RC-40)
■共  催: 東京大学マテリアル工学セミナー 
  レアメタルの環境調和型リサイクル技術の開発研究会
  東京大学生産技術研究所 持続型エネルギー・材料統合研究センター
  東京大学生産技術研究所 非鉄金属資源循環工学寄付研究部門(JX 金属寄付ユニット)
■協  賛: (一社)軽金属学会、(一社)資源・素材学会、(一社)新金属協会、
  (公社)日本化学会、(公社)日本金属学会、(一社)日本チタン協会、
   (一社)日本鉄鋼協会 (五十音順・依頼予定) 
■開催会場: 東京大学生産技術研究所 An棟2階 コンベンションホール
   〒153-8505目黒区駒場4-6-1
   (最寄り駅:駒場東大前、東北沢、代々木上原)
   https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/access/

■参加登録・お問い合わせ:岡部研 レアメタル研究会事務担当 宮嵜 智子
             (okabelab@iis.u-tokyo.ac.jp)
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令和2年度レアメタル研究会のご案内(2020年5月30日現在)
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■ 第91回 2020年 7月17日(金) ←次回 (2020年度 第1回)
   (↑ Zoomを利用する講演のネット配信を計画中)
■ 第92回 2020年9月25日(金) (2020年度 第2回)
■ 第93回 2020年11月6日(金) (2020年度 第3回)
        ★チタン関係シンポジウム★(合同開催)
□関連シンポジウム: 寄付ユニット特別シンポジウム 11月27日(金)
 (会場:SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)を予定)
■ 第94回 2021年1月8日(金) (2020年度 第4回)
        ★貴金属シンポジウム(第8回)+新年会★(合同開催)
■ 第95回 2021年3月12日(金) (2020年度 最終回)
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■第91回 2019年(令和2年)7月17日(金)
 オンラインでの開催を予定 (←Zoomを利用する講演のネット配信を計画中)

場所・時間:東京大学生産技術研究所
        14時00分~ 講演会

テーマ: 産業とSDGsと未来社会
講 演:
資源循環と環境問題とSDGs(仮)(60分)
JX金属株式会社 特別理事 (前代表取締役社長) 大井 滋 講師

レアメタルの資源・環境問題とSDGs(仮)(60分)
東京大学 生産技術研究所 教授 岡部 徹 講師

循環経済とITプラットフォームと未来社会(仮)(60分)
東洋大学 情報連携学部(経営学) 教授 廣瀬 弥生 講師

研究交流会・意見交換会 ←現時点では交流会は開催中止の方針 (ただし、Web開催を検討中)
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*レアメタル研究会ホームページ*
 https://www.okabe.iis.u-tokyo.ac.jp/japanese/rc40_j.html
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★参加希望の方は以下にご記入の上、お申込みください。
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レアメタル研究会(第91回)参加申込フォーマット
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名前(フルネーム/読み仮名):
勤務先:
所属:
役職:
勤務先住所:
電話:
Fax:
メール:
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事前登録制にて承りますので7月16日(木)17:00までにお申し込みをお願いいたします。
申込者には、当日までにZoomのURL及び配布資料ダウンロード用URLお知らせいたします。

<添付資料>
・レアメタル研究会開催案内

どうぞよろしくお願いいたします。

2020年6月9日 宮嵜智子
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〒153-8505 目黒区駒場4-6-1
東京大学生産技術研究所 Fw301号室
岡部 徹 研究室 
レアメタル研究会事務担当 宮嵜 智子(Tomoko Miyazaki)
Tel.03-5452-6314 Fax.03-5452-6313
e-mail okabelab@iis.u-tokyo.ac.jp
https://www.okabe.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html
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2018年8月23日 (木)

■金属時評見本誌










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2017年4月 8日 (土)

■金属時評本誌 インタビュー過去記事

■■インタビュー集

■トップインタビュー

2016年11月5日号

●RSテクノロジーズ 取締役事業本部長・本郷邦夫氏

今春、台湾に月産10万枚の300ミリ再生シリコンウエハー工場を新設したRSテクノロジーズ。全額出資子会社での生産が早くも、「フル稼働に迫る80%操業に入っている」という。台湾の世界最大のファウンドリ―企業のTSMCやUMCなどの生産は好調で、「すぐというわけではないが、早晩、増設することになるだろう」と話すのは、同社の本郷邦夫取締役事業本部長。半導体全般は、やや調整気味とみるが、DRAMが比較的調子が良いほか、市況が上向いている状況であり、目先はまずまずとみている。今年上期は、熊本地震の影響で、三本木工場はフル稼働となっていたが、下期はまだ見通せない状態。しかし、それ以上に台湾の隣の中国の動きに眼を光らせる。中国の半導体投資が「灼熱」状態化しているからだ。「300ミリ工場の立ち上がりに対応し、認定は逐次進めて行く。それに沿って、2018年頃には現地生産が必要になるかもしれない」(同取締役)と分析している

 

―WSTSが2016年春季半導体市場予測で、今年の世界の需要見通しを前年比2.4%減と見込んだほか、ここにきてTSMCが、今年の成長見通しを2%から1%程度に下方修正するなど、半導体景気はやや調整気味ですが。

 

本郷 世界的な半導体景気動向は、確かに余り良くはない。ただ、DRAMはまあまあの状態だと思われるし、DRAM市況も上向き傾向にある。「楽観」はできないが、目先はまずまずというところ。再生シリコンウエハー事業は、台湾が早くも80%稼働を達成した。

 

―ところで、中国の半導体ビジネスが活況を呈しています。2020年には5割の自給率を目指すという壮大な半導体国家計画が本格化しているためで、かつての太陽電池、ディスプレイに次ぐ「灼熱状態を」迎えているようですが。

 

本郷 今春、「武漢新芯集成電路製造」(XMC)は、湖北省武漢で240億ドルを投じたNAND新工場の建設に着手した。同社は、2030年にはNANDや3DNANDで東芝を凌駕すると公言しているようですね。これに代表されるように、300ミリウエハー工場の新設計画が目白押しである。台湾のTSMCが全額出資で中国に初めて単独で3700億円を投じて、南京に最先端の300ミリウエハーを流す半導体工場の建設に着手した。また、同UMCが福建省厦門で着工した300ミリ工場は今年12月から量産に入るとされるほか、Powerchipが合肥で300ミリ対応の工場を建設中であること、および米国のグローバルファウンドリーが四川省重慶に進出するなど、大手3社が中国で揃い踏みの300ミリ対応の半導体工場建設を競っている。最近、仕事で安徽省合肥に出かけたが、BOEが長さ2キロメートルにも及ぶ巨大な液晶ディスプレイの最新工場を建設していた。そのパワーには眼を見張る思いである。

 

―今年の8月初めに、そのXMCを巡る中国の半導体企業同士のM&Aとして初めての大型買収が行われ話題となりました。この買収劇は、中国の半導体設計大手の清華紫光集団が、国内半導体メーカー最大手の一つであるXMCの株式の過半を取得、「中国最大の半導体メーカーが誕生した」という出来事です。これによって、〝中国最大〟の半導体持ち株会社「長江存儲科技」が誕生しました。新資本金は189億元(約2800億円)になるということです。

中国は半導体を年間約2000億ドル(約20兆円)以上、輸入しており、2013年には原油を上回る中国最大の輸入商品となりました。しかも、半導体分野では世界最大の貿易赤字国でもあります。このため、ハイテク産業のシンボルである半導体産業の育成を最優先課題に掲げ、2020年までに自給率5割を目指した国家プロジェクトがスタートしています。

 

本郷 中国の半導体自給率を高める戦略のなかで、遅れているのがシリコンウエハーや半導体材料、半導体製造用の特殊ガス事業である。これらは、半導体ビジネスの研究開発にスペックインして、成り立つ事業である。そのため、現状では最先端の半導体工場がわずかしかないために、ほとんど育っていない。そのため、2020年の段階では半導体の50%の自給率に対して17~18%にとどまるとみられているようだ。

 実際、シリコンウエハーでは6インチ以下しか自給できていない。わずかにある8インチでも、かつて日本から進出した企業が撤退し、その後を引き受けた日本企業が量産している以外は、事実上存在していない状態。6インチまでは、海外の技術者を引き抜くほか、退職後のエンジニアなどの協力で量産化できたが、6インチから8インチへの「ハードル」が極端に高く、容易に超えられないとみられている。日本でも6インチから8インチへのステップアップには、高精度の品質管理が求められてきたので、その経験を踏まえると、中国の困難さは十分理解できる。

 

―中国では8ンチを飛び越して、12インチウエハーの量産化の動きが具体化しています。「上海新昇半導体」が、今年夏までに300ミリウエハーの製造設備を建設し、単結晶シリコンからプライムウエハーまでの一貫体制を構築し、月産5000枚での生産に着手したといわれます。

 

本郷 近く本格的に稼働するようだ。将来的には月産60万枚を目指すとのことだが、量産化の決め手は研究開発の持続力と研究資金が続くかどうかだとみている。韓国で先端ウエハーを量産している企業からも開発要員を集めているようだが、そう簡単ではない。ただ、今後は国内の300ミリウエハーラインが続々と立ち上がってくるので、採用するところが出てくる可能性もあり、注目してみている。

*(続きは、有料バックナンバーで)

 

 

■トップインタビュー

2016年9月5日号

●NECトーキン  代表取締役・執行役員社長 小山茂典氏

NECトーキンの再建を引っ張ってきた小山茂典社長。就任4年目の2015年に全事業門の黒字化を達成するなど、健全化にメドをつけた。この間、タイの洪水の影響もあって一時は大きく落ち込んだタンタル電解コンデンサー事業の立て直しに取り組み、売り上げの25%を占めるまでに見事に回復させたほか、車載用のリレー事業を世界標準に押し上げるなど、「確かな経営手腕」が輝きを放っている。ここにきて中期的に、タンタルコンデンサーを毎年10%増強し、2018年度に月産1億個への引き上げを計画するなど、主力事業の強化を図る一方、モーターを始めとして多様な産業分野でのアプリケーションが見込まれるナノ結晶軟磁性材料や薄帯から粉末製品化を狙う非晶質軟磁性材料などの新規事業分野への展開を打ち出した。同社長は固めの経営見通しを語るが、米KEMET社との協業をフォローの風にした再建策が功を奏し、縮小均衡から脱却した今、再生NECトーキンの拡大均衡への期待が高まってきた。

 

‐NECトーキン創業以来の厳しい状況下で、経営再建に取り組んで来られました。それから5年を経まして、昨年度は全セグメントで黒字転換を達成、今年は新たな第一歩を踏み出したわけですが、直近の収益状況を教えてください。

 

小山 2012年に社長に就任しましたが、その時が日本のパソコン、携帯電話などのジャンルでハードウエアメーカーがポジションを下げて行った時で、最も厳しい時期でした。そこから社員皆で頑張って、ドン底からは何とか這い上がってきて、2015年度に営業黒字転換を果たしました。それまでの「寝たきり」の状態からようやく「起き上がって、歩きはじめる」ことができた状態というところです。この成果から振り返れば、過去2012年ぐらいから積み重ねてきた改善は、概ね「的を得た」計画だったと思っています。

当社は、現在非公開なので決算は公開していませんが、昨年度の実績は、売上553億円、営業利益25億円です。営業利益率5%ですね。引き受けたときは、マイナスからの出発でしたが、2012年度からは改善を積み重ねた結果、一貫して毎年増収増益化できましたが、2015年度は、ようやくすべての事業分野で黒字転換でき、「全社的に前に進むことがみえてきた年だった」と位置付けています。

 

‐2011年には2度の未曾有の災害に国内外で見舞われ、この間、「耐えに耐え抜いた」と、拝察致しますが。

 

小山 この5年間は事業環境やマーケットの変化などにも晒されましたが、私が引き受ける前の2011年には東日本大震災があり、宮城県の工場も被災しました。当時、宮城県の工場の責任者でしたが、被災と同時にサプライチェーンも大いに痛み、顧客も含めて大きな困難に見舞われました。それに加えて同年の秋にはタイで大規模な洪水があり、当社のキャパシターの主力工場が1カ月以上、水に浸かり、全損となりました。当時、タイの工場の出荷額は全社売上の3分の1以上、利益ベースで50%以上稼いでいた工場が、「ゼロに帰した」わけですから、大きなインパクトでありました。

いずれの災害も、「何百年に一度」という頻度の天災ですが、先ほども言いましたように2011年後半から2012年にかけてが、当社にとって最も苦しい時期でした。東日本大震災では、被災した工場の責任者として、「従業員の頑張り」を目の当たりにしまして、この会社の仲間たちと会社を必ず復活させたいと思いましたし、それだけの価値のある事業だと思いを新たにしました。

タイの洪水でも、「従業員にとっては生活基盤を失うような」大きなことでありましたし、当社にとっても事業を奪われるような大災害でありました。当時、直接タイの事業に携わっていませんでしたが、マネジメントの上位案件として「再建に」に取り組みましたが、やはり現地を訪れ、この事業を何とか復活させたいとの強い思いを抱きました。

巡り合わせもあって、社長を引き受けましたが、今、振り返るとわずか1年の間に大きな災害が二つも重なる苦境のなかで、「何で引き受けたのか?」とも考えることもありますが、「皆で危機感を共有」しながら、ここまでやってきたことが、全セグメントで黒字化を達成できた原動力となったと思っています。その結果、被災した宮城やタイの工場も早期の復旧と新工場を立ち上げることができました。タイは、20年も地元に根付いた事業であり、翌年の夏にはタイ国内の新立地で操業再開にこぎ着けることができました。

 

‐東日本大震災だけでもエレクトロニクス関連メーカーの痛手は、相当なものでしたが、ましてやタイの洪水とまさに、「会社存亡の危機」でした。そこから社長のリーダーシップと全社の身を削るような努力の積み重ねで這い上がってきましたが、その成果が2015年度決算に結実しました。経営が上昇軌道に乗る一方、タンタルキャパシターやリレーなどでは、活況が戻ってきました。

 

小山 昨年度から伸長しているキャパシターやリレーなどへの投資に徐々に取り組み始めています。しかし、ここに至るまでには多くの地道な企業努力が積み重ねられています。それは、タイでは工場が2012年夏に操業が再開できましたが、ホッとするどころか新たな「困難」の始まりでした。半年以上供給が停止したわけで、再認定など、一からのスタートを余儀なくされまして、マーケットシェアを取り戻すのに、そこから1年半以上の長い時間が必要でしたから。ただ、20年来の工場を失いましたが、新たな工場の建設によって最新の機器の導入が行われ、生産体制を一新することができました。競争力を高める大きな推進力となりました。

 

‐まさに、「禍転じて福となす」ということでしょうか。洪水の直後は、タイでの工場再建は出来ないのではとの見方もありましたが。

 

小山 キャパシターの主力拠点でしたが、タイでの工場再建をすべきかどうか、悩んだ時期もありました。当時は、原料タンタルが急騰している時期でもあり、収益性が悪化していまして、工場としても大きな規模のケミカル部分を抱えていますので、再建のハードルは非常に高かった。しかし、世の中でこうした電子部品が必要であり、期待に応えられるテクノロジーも有していましたので、何としても再建したいという思いがありました。幸い、「災害保険」のなかに洪水被害が保障に含まれており、再建投資費用の多くを賄うことができましたことは幸運だったと思います。

新工場の再建によって、競合他社に比べて「半歩先を行く」テクノロジーを取り込むなど、その後、このことが十分な利益を取り戻すことに繋がりました。ただ、この間の業績改善の大きな要因は、スマートフォンやIT、自動車の電装化の一層の進展、その他様々な電子産業の上昇トレンドが追い風になったことでした。

こうした効果もあり、最近になって設備投資が再開できる基盤がととのってきてはいますが、この間の4~5年の間に他の日系電子部品メーカーはどこも、過去最高の利益を上げる状況となっていますので、それらと比較すると当社はまだまだ、道半ばであるといえます。

 

‐電子部品各社とも、スマホ一辺倒ともいえる戦略からウエアラブル機器、次世代自動車、IoT、ビッグデータと早やくも、構造転換を見越した事業転換に動き始めるなど、変化の兆しがみえ始めていますが、今年から来年にかけての事業見通しをどのようにみていますか。

 

小山 来年度に向けてやるべきことは、今年と変わらないということですが、市場動向としてはやや保守的にみています。この3~4年のように簡単に右肩上がりで伸びるとは考えていません。取り組んできた環境・エネルギー、自動車、医療などは一応、堅調ですが、一昨年や昨年までのような大きな伸びがあるかどうかは疑問。グローバルでの政治的、経済的、社会的な不安定性が強まっていることもあり、企業の投資意欲に影を投げかけています。今、ようやく全事業が黒字転換したところであり、余り高望みをせずに、来年度は売上で5%程度の成長を計画していますし、収益についても同様に「固めに」にみています。

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■トップインタビュー

2016年6月5日号

●株式会社三徳 代表取締役社長 岡田力氏 

「レアアースとレアメタル事業を基盤にした三徳のもつ高機能金属技術のポテンシャルを積極的にアウトプットすることによって、新たな事業化への糸口につなげて行きたい」と話すのは、株式会社三徳の岡田力社長。「これまで、どちらかというと社内にある潜在的な技術力を外部に向けて発信するということは少なかったのですが、昨年の大阪と今年4月に東京で開催された高機能金属展に出典しました。展示会への参加は、久しぶりのことですが、持てる技術を多様な形で外部に提案することによって、中期的に製品化・事業化展開を加速しようと考えており、展示会への参加もそうした思いの一環です」と、社外に向けて〝チャレンジする三徳〟を前面に打ち出す。一方では、和歌山レアアースを傘下に収め、既存事業の強化拡大に加えて、「C」(炭素)から「H」(水素)へのグローバルなエネルギー転換の動きを捉え、国家戦略への積極的な参加、或いは大学との連携、企業間の提携など、多面的な企業活動を展開する方針を語る。中期事業戦略を軸に事業の柱であるレアアース、レアメタルの動向、さらには関連事業の現状と今後の見通しなどを岡田社長に聞いた。

 

 ―昨年から中期5カ年計画をスタートし、その1年目に早速、ネオジム磁石合金の事業戦略強化の一環として、新日本電工グループとの間で和歌山レアアースの譲渡契約を結び、昨年11月には子会社化を完了、磁石合金事業のボリュームを大幅に拡大、国内最大手の地位を一段と強化しました。

 

岡田 日本電工と中央電気工業の経営統合により、新日本電工グループを立ち上げられるなかで、事業の選択と集中に踏み切られた結果、弊社にネオジム磁石合金事業譲渡の打診があり、昨年、中央電気工業・和歌山工場のネオジム磁石合金事業を切り出し、和歌山レアアースを設立、譲渡の具体的な交渉を行ってまいりました。その結果、昨年11月には最終合意に達し、後に公正取引委員会の了解を経て、弊社が80.73%、双日が20%弱の出資比率で、和歌山レアアースを弊社の子会社化しました。弊社の培ってきたネオジム磁石合金事業と和歌山レアアースの有している製造技術を融合、国内外での事業経験を生かした「シナジー効果」を発揮し、グローバルでの事業拡大に結びつけていきたい。

 

―子会社化の直後、和歌山レアアースの資本金を1億円から3億5000万に増資、事業体制の整備にも取り組んでいますが、今回の新たな国内拠点の確保に加えて、予ねてから展開している中国でのネオジム磁石合弁事業を併せて、グローバルな供給体制が大幅に拡大します。

 

岡田 和歌山レアアースの子会社化で、弊社グループのネオジム磁石合金事業のウエイトトが大幅に拡大し、売り上げに占める比率も大きくなります。中国内事業は、一昨年、能力増強を行い、需要増への対応を図りましたが、残念ながら2015年は中国市場が低迷しており、弊社の合弁事業もぎりぎり黒字を計上する業績にとどまりました。

そうしたなかで、磁石合金事業での今年の課題は、和歌山レアアースと弊社の技術の相乗効果を発揮し、「両社の顧客に対して、統合のメリットをどのように還元して行くのか」ということにあると思います。この課題に対して、スピード感をもって取り組むことにしています。新日本電工グループからは、中央電気工業がベトナムに進出、設立したレアアースのリサイクル事業譲渡の打診もありましたが、弊社は国内で独自のレアアース、レアメタルリサイクル技術を有していまして、他社技術を導入したベトナム工場とのマッチングは難しいと判断しましたほか、弊社の有していますマンパワーの面からも、あまりにも過大かなとの思いもありましたので、お断りしました。

 

―中期計画の初年度から、〝岡田流〟の積極経営がヒットしていますが。

 

岡田  中期経営計画では、5年で「安定的、持続的に成長する」ことが大きなテーマです。また、これまで展開してきた事業の「収穫期」と位置づけています。同時に次の戦略事業への種まきを行う。さらに、エンドレスの課題である財務体質の改善を図り、次の投資に備えるということが狙いになります。

 

―環境・エネルギー関連での御社のポテンシャルは、ジルコニウム系触媒材料などの排ガス触媒用材料、磁気冷凍材料、最軽量マグネシウム合金、燃料電池材料、AB5やBCCといった水素吸蔵合金、空気電池用陽極触媒など、非常に高いものが揃っています。

 

岡田 これらの製品を成長の原動力に据え、中期計画で事業の柱に育て上げることが目標となっています。そのためにも、外向きの提案を積極的に推進することに力を入れ始めているところです。久し振りの展示化への出展もそうした狙いからです。実際、展示会を通じて思わぬ企業からの問い合わせや依頼なども舞い込んでいます。

 

―将来的な世界のエネルギー供給の動きが、「炭素」(C)から「水素」(H )へ舵を切り始めていますが、これらの新規分野でレアアース、レアメタルの新たな出番を期待させる研究も広がっています。水素社会を目指し、国家戦略として推進している燃料電池開発では、電池の大幅なコストダウンが普及への一里塚となります。

 

岡田 低コスト燃料電池に不可欠な白金代替技術として、助触媒にランタンやセリウムを使った研究開発が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によって進められています。弊社も燃料電池関連では、炭化水素の水蒸気改質触媒、アニオン伝導固体電解質などの開発を行っており、これらの潜在的な力を製品化に向けて、多様な取り組みを目指すことにしています。

また東芝などが、風力発電などの自然エネルギーを活用、この電気で液化水素を製造し、燃料電池向けの供給を行う実証実験が始まっています。そこでは、製造後の水素の輸送手段として液化水素ボンベが使われていますが、どうしても体積が大きくなってしまうという課題があります。弊社の得意とする水素吸蔵合金を使えば、「コンパクト化」が実現します。レアアースを活用した高容量で高機能な水素吸蔵合金への研究開発の推進は、水素社会の発展にとって大きなインパクトを持っていますので、活用を期待しています。また、リチウムイオン二次電池用正極材を事業化していますので、電力貯蔵分野での潜在力を有しています。

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■R&Dインタビュー

2015年12月25日号

●国立研究法人物質・材料研究機構 関口隆史グループリーダー

世界初のシングルシードキャスト法で、「高品質」、「低価格」の単結晶シリコン(モノシリコン)成長に成功

世界の太陽光発電ビジネスは、供給過剰な低品質多結晶シリコンをダンピング戦略で世界に〟垂れ流す〟中国に席巻され、日、独などの有力企業が撤退に追い込まれたほか、事業環境は低収益を迫られている。かつては世界のリーダーだった我が国が、太陽光発電ビジネスの主導権を中国から取り戻すには価格競争力のある結晶シリコン太陽電池技術を開発することが必要不可欠である。この目的に沿って、2010年度からNEDOプロジェクト「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」が開始され、「高品質」、「低価格」の単結晶シリコン(モノシリコン)の育成を柱とした太陽電池技術の研究が推進されてきた。ここにきて、NEDOプロジェクトで従来の鋳造法に比べ、太陽電池向けモノシリコン結晶の品質を飛躍的に向上することに成功したのが、国立研究法人物質・材料研究機構MANAナノエレクトロニクス材料ユニットグループの関口隆史グループリーダーと九州大学の柿本浩一教授らの研究グループ。我が国の巻き返しの期待が高まる「シングルシードキャスト法」によるモノシリコンの開発に取り組んできた物材機構の関口隆史チームリーダーに新生産プロセスの優位性や将来性などについて聞いた。

 

世界に先駆けて開発したシングルシードキャスト法は、従来の鋳造法に比べて太陽電池向けモノシリコン結晶の品質を飛躍的に向上、シリコン太陽電池の高効率化とコストダウンが見込めるほか、結晶中の酸素濃度を6ppmにまで大幅に低減、FZ(フローティングゾーン)法シリコン単結晶に迫るパワーデバイス向けの大型結晶の供給への期待が高まってくるなど、太陽電池向けのみならず、我が国が世界をリードするパワーデバイス向けへの発展が予想されていますが。

 

関口 太陽電池の主流であるシリコン系太陽電池は、変換効率が20%に達しており、今後の開発は、付加価値を高めるために、一段の高効率化が求められている。一方、汎用の低価格太陽電池には、MC-シリコンと呼ばれる多結晶シリコンが使われているが、変換効率が16%から18%と1割から2割低い。

高品質、高変換効率の太陽電池としては、半導体シリコン単結晶(CZシリコン)を使って、変換効率20%を超える製品が製造されているが、多結晶シリコンに比べると価格が大幅に高いことが課題。しかし、従来の鋳造多結晶シリコンではこの目標値を実現することが不可能である一方、半導体用の無転位単結晶シリコンでは価格競争に勝ち残れないため、多結晶シリコン、半導体単結晶シリコンに代わる「第3のシリコン材料」の開発が望まれていた。

そこで、この問題を解決するため、NEDOプロジェクトで種結晶を使ったシリコンの鋳造法である「シングルシードキャスト法」を新たに開発し、結晶の品質が良く不純物の少ない単結晶シリコン(モノシリコン)インゴットを育成することに取り組んできた。開発した新たな鋳造法は、るつぼの中でシリコンを溶解し、小さな種結晶から大きな単結晶を成長させる技術で、半導体シリコン単結晶の作成法に比べて、原料コストと製造コストの両面でのコストダウンが可能である。

 

シリコン結晶の溶解には、一般的に石英坩堝が使われますが、坩堝の材質は何を使われているのでしょうか。今後、さらに大型結晶化へ向けたルツボの課題は。

 

関口 坩堝には石英を使っている。現在、多結晶鋳造用に1メートル角の坩堝も製造されているので、石英坩堝に関しては技術的な困難さは、あまりないと考えている。

 

多結晶シリコンでは、高純度の金属シリコンが使われますし、半導体CZシリコン単結晶ではイレブンナインの超高純度多結晶シリコンが原料となります。今回のモノシリコン結晶成長は、投入原料として何を使われているのでしょうか。

 

関口 半導体CZシリコンの端材が多い。高純度金属シリコンを使う場合には、ボロンやリンの濃度がわかっていることが条件となる。補償が大きいものは、効率を上げるのは難しいと思う。

 

シングルシード法による高品質モノシリコンの主要な成長条件は、3次元的なきめ細かな温度管理とも推測できますが、量産化にも向く技術なのでしょうか。

 

関口 電気炉の熱設計が最適化されれば、あとはプログラム通りの温度履歴で結晶ができるところが一番の特徴である。鋳造法は、高温で溶解したシリコンを坩堝の中で固化させるもので、半導体材料として用いるCZ法やFZ法と違って、結晶育成中に監視する必要がないため人件費が省けるなど、製造コストの低減が可能。開発したシングルシード法は、種結晶を坩堝底全面に敷くのではなく、中心に置いた一個の種結晶から大きな単結晶を成長するもので、原料コストを抑えることができる。

 

今回試作に用いた設備で50センチメートル角のモノシリコンインゴットまでの成長が可能とされているほか、一般的な太陽電池の量産ラインへ組み込むことができるとされていますが、種結晶を含めた一回当たりの原料投入量と結晶の成長速度を教えて下さい。

 

関口 原料投入量は、50センチメートル角のモノシリコンが得られる結晶の厚みが10センチメートルで約60キログラム、20センチメートル高さでは約120キログラム。結晶の成長速度は、通常の鋳造結晶と同程度である。

 

電力必要量は一回当たりどの程度なのでしょうか。また、それは多結晶シリコンの一般的な製造法であるシーメンス法や半導体単結晶シリコンの製造法のCZ法と比べ、削減可能でしょうか。

 

関口 多結晶シリコンの鋳造炉に準じた電力を投入している。シード法モノシリコンは溶解時に、多結晶を成長させる場合より少し長い時間をかけるので、その分電力は少し増加する。コストダウンは、断熱性能を更に強化し最適化することで可能と思う。

CZ炉では、結晶育成に伴って融液量が減少するのでパワーを増大させる必要があるのに対し、鋳造炉では、結晶育成に伴ってパワーを減少させて行くことや、一度に、CZ炉の約10倍の大面積の結晶を育成することができることなどで、電力的には有利である。(50cm角の場合、約10倍)

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■R&Dインタビュー

2015年11月25日号

東京大学生産技術研究所 増野敦信助教

「鋼に近い高弾性」、「高屈折率」を発現する酸化物ガラスで、ニューガラスのフロンティアを切り開く

これまでガラスにならないと思われていた、酸化アルミニウム(AlO3)と酸化タンタル(TaO5)のみからなる新しい組成のガラスの世界初の合成に成功したのが、東京大学生産技術研究所 増野敦信助教。得られたガラスは無色透明で酸化物ガラスの中で最高の弾性率を有している。局所構造解析を行ったところ、アルミニウム原子周囲の構造が、一般的なガラスとは大きく異なること、そしてその結果として、充填密度が非常に高くなり、極めて高い弾性率となっていることを突き止めた。開発したガラスは「ガラスよりも、鋼に近い値」を示しており、薄くしても丈夫な新素材として、エレクトロニクス用基板、建築材料、カバーガラスなどへの応用が見込まれている。同助教は、アルミニウムータンタル以外にも、希土類ーニオブ、希土類―チタン、希土類―アルミなど一連の“ニューガラス“の開発でも成果をあげ、類をみない高屈折率ガラスとして企業との共同研究を経て、商品化に動き始めており、一躍脚光を浴びている。英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」にも掲載された今回の成果について増野助教に聞いた。

 

―これまで、酸化アルミニウムを主成分とする単純な組成ではガラス化しないとされてきましたが、今回、成功したポイントは。

 

増野 酸化アルミニウムと酸化タンタルとをほぼ1:1の組成で混ぜ、無容器法を適用することで、無色透明なガラスにすることができたところである。具体的には、酸化アルミニウム粉末と酸化タンタル粉末を予めほぼ1:1で混ぜて固めたものをノズルからガスで送り込み、浮遊させながら炭酸ガスレーザーを照射することによって合成した。

 一般的なガラス合成法においては、ガラス化を阻み結晶化を促進する最大の要因は、容器壁面からの不均一な核生成である。無容器法では物質を空間に浮かせた状態で合成を進めるため、壁面からの不均一核生成が極限まで抑制される。その結果、ガラスになりにくい組成でも比較的容易にガラス化することができる。

無容器状態を実現するために、今回はガス浮遊炉を用いた。円錐形のノズルから試料に対して下から鉛直方向にガスを吹き付けることで、試料を浮遊させたまま保持し、炭酸ガスレーザーを照射して試料を2000℃で溶融、合成することができた。

 

―ガラス化する酸化アルミニウムと酸化タンタルの組成変動は。どの程度まで可能でしょうか。

 

増野 理想的な組成は、ほぼ1:1である。上下5%以上組成が振れると、ガラス化しない。

 

―酸化アルミと酸化タンタル粉末は、高純度のものが必要ですか。また、粒子径は。

 

増野 今回は酸化アルミニウム、酸化タンタルともに市販の試薬級(99.9%)を使ったが、レンズなどの高級なものでは高純度であることが要求されるかも知れないが、スマートフォンのカバーガラスなどでは、ある程度の純度があればガラス化への影響はないものとみている。溶かしてしまうので粒子径も特別にそろっている必要はない。

 

―今回、合成して得られた酸化物ガラスは直径が2.5ミリメートルの球体ですが、サイズはどの程度まで可能ですか。また、量産性は。

 

増野 ガス浮遊炉を利用した無容器法の場合,ガラス化しやすい組成なら最大で10ミリメートル程度までは作ってみた。レンズのような用途であると、この大きさ程度でもそのまま使える分野もあるだろう。また、スマートフォン用のカバーガラスなど比較的大きな用途では、球体ガラスを多数作って型に入れ、ガラスが軟化する程度の温度まで高めて圧力をかけて焼結すれば、利用可能な状態を形成できるとみている。

 量産については、そこまで考えていなかったが、カバーガラスなどを作るためのいくつか別のプロセスも試そうとしている。

 

―コスト的にはいかがですか。

 

増野 装置と原料代を別とすれば、ランニングコストは僅かな炭酸ガスレーザーの電力だけなので、安価に製造することができることが特徴だ。

 

―安価で製造可能、しかも高弾性、無色透明ですから「非常に丈夫なガラス」として、幅広い分野で応用製品化が期待できそうですね。

 

増野 薄くしても丈夫な新素材として、エレクトロニクス用基板、建築材料、カバーガラスなどへの応用が見込める。

なんといっても、酸化物ガラスの中で最高の弾性率を有している。局所構造解析を行ったところ、アルミニウム原子周囲の構造が、一般的なガラスとは大きく異なること、そしてその結果として、充填密度が非常に高くなり、極めて高い弾性率となっていることを突き止めた。例えば、弾性率のひとつであるヤング率は160ギガパスカル(GPa)に達したが、これは酸化物ガラスの中で最も大きな値である。典型的な酸化物ガラスの場合は80GPa程度、鋳鉄は152GPa、鋼は200GPa程度であることと比較すると、今回新たに合成したガラスの弾性率は、ガラスよりも鋼に近いことがわかった。

 

―高弾性のメカニズムは、どうして発現したのですか。

 

増野 走査型透過電子顕微鏡(STEM)でAlとTa原子の分散状態や核磁気共鳴(NMR)でAl原子核の局所環境についての解析を行った。その結果、AlとTaが原子レベルで均一に分散していること、そして周囲の酸素の数が5であるAl原子の割合が非常に多いことがわかった。通常の酸化物ガラス中に酸化アルミニウム(AlO3)を少量添加した場合は、ほぼ4配位になり、5配位は珍しい局所構造である。

その結果として、このガラスは全体的に隙間無く密につまっていた。また、こうしたAl原子周囲の特異な局所構造は、Taという元素によってもたらされたということを提案した。AlO3-TaO5ガラスで見られたAlやTaの特徴的な振る舞いは、従来のガラス形成則の考え方からは大きく逸脱しており、そのため今回開発した高弾性率ガラスは、本質的に新しいタイプのガラスであると考えている。ガラス科学における定説に反して、今回、酸化アルミニウムと酸化タンタルのみを組成とするだけでもガラスができるになることを示した。

これはガラス科学にとって新たな材料空間が発見されたといえる。加えて、Al周囲の局所構造を制御することでさらなる新材料を生み出せる道筋が見つかった。今回の成果によって、古典的ガラス形成則を超えたところに、新しい“高充填密度”ガラスの領域があることがわかった。

 

―2013年に発見したランタンーニオブ、ランタン―チタン、ランタン―タングステンなどの一連の高屈折率ガラスへの産業界の期待も大きいようですが。

 

増野 今回の成果と同様、これまでガラスにならないと考えられていたランタン酸化物(La2O3)とニオブ酸化物(Nb2O5)のみからなる組成の新しい2種類のガラスを開発した。2種類のガラスはLa2O3の含有量が多いものとNb2O5の含有量が多いものとがあり、いずれも無色透明で、かつ2.12.2という極めて高い屈折率を示した。

 

―高屈折率ガラス実用化の見通しは。

 

増野 このガラスの光学特性は極めて優れており、超高精細、高解像度を実現する光学レンズとしての応用が期待される。2013年に発表した時は、多くの光学ガラスメーカーから共同開発の声をかけていただいた。現在進行形のものがあるが、秘密保持契約があるので多くは言えないが、商品化される時期も遠くないだろう。他の商品と差別化を図った高機能、コンパクト、高付加価値分野で実用化を目指している。

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■新春インタビュー■

2015年2月5日号

株式会社 メタルドゥ 相談役 藤田國廣氏

 

●・・・日本の景気の立ち直りは、意外と早い      

「今年の景気見通しは?」と聞かれても、答えは非常に難しいと思う。しかし、こうだと言い切れる根拠があるわけではないが、一言でいえば、「そんなに悪い経済環境ではない」とみている。それと「意外と立ち上がりは早いのではないか」と考えている。

足元はレアメタルを含めた銅、鉄、プラスチック、原油などすべてのコモディティ価格が下がってきており、レアメタルの価格も大きな影響を受けている。マクロ的には世界経済の後退局面を迎えているばかりか、政治的にはフランスのテロ事件、ロシアへの制裁、中国経済のリセッションや原油価格の下落など、挙げたらきりがないほど、不安定要因は目白押しだ。しかし、人間誰しも50年前のことは忘れてしまっても、5年前のリーマンショックを忘れたわけではないと思うだけに、これらの政治、経済課題をその都度織り込みながらバランスしようとして行くと考える。

 

●・・・2月期決算は売上、利益ともに数十パーセント増の大幅増収益となる見通し

市況下落局面では在庫は「先入れ後出し」となり、一時的に負担は増すが、現状当社の業績は順調に拡大している。2月期決算見通しは売上、利益ともに数十パーセント増の増収増益となる見通し。当社の世代は変わったが次期決算も増収益を期待している。景気の波は常に繰り返しくることは避けられない。昨年来資源価格の下落が続いているが、市況が下がれば、いずれ底を打ち上昇に転じるし、上げ相場といえども必ず天井を打つ。

どこかに必ず「ターニングポイント」があることは変わらない。確かに、その時々の「在庫のポジション」や「売買ポジション」という経営的な部分もあるが、中期的なスパンで見れば市況が下がったほうが良いこともある。いたずらにばたばたせずに、「ピンチ」は静かに受け止め、しっかり自分たちの足元をみつめながら、適切に手を打てば逆に「チャンス」を呼び込むことができる。社内でも、こうしたことを常々言ってきている。

●・・・国内最大のレアメタルリサイクル事業は、「小ロット・多品種」

大手非鉄メーカーさんのように銅や鉄のリサイクルのような大型の設備投資を行い、長期に資本を寝かせるような長期的な事業展開は、当社はなかなかできない。国内のレアメタルリサイクル市場もそうした巨額の資本投下をするようなボリュームのスクラップが集まるものではない。

レアメタルに限ってみると、当社は「国内最大級」のリサイクルシェアを有している。月間3000トン前後のスクラップを扱い、現在の評価で150億円前後の業態である。

金属リサイクル事業は、鉄や銅やアルミのような大規模な事業とコバルトやニッケル、チタンのようなレアメタルの事業に二分されている。それだけにレアメタルはニッチで要求精度の高い仕事といえる。半面、大手さんが人、モノ、金を、技術を投じるようなリサイクル金属と異なるところであり、逆に大手さんが入り難いところでもある。

当社は、レアメタルのなかでもニッケル、コバルト、チタン、タンタルなどを軸にレアメタルに特化した事業展開を続けてきている。扱い品目は細目すれば数百種類に達するが、レアメタルのリサイクル産業規模は大きくない。それだけに、「小ロット・多品種」を武器に、大手企業が参入し難い領域で我々の活躍の余地があるということを念頭に企業価値の最大化を目指している。

 

●・・・経営ポリシーは、「安定供給」と「安定価格」戦略

スクラップとバージン品とでは、サプライチェーンが大きく異なる。スクラップは製造原価がある商品ではないが、バージン品に対しては必ず価格メリットがある。このスクラップの特質を事業に結実し、「安定供給」、「安定品質」、「安定価格」そして「多品種」を前提にした事業展開を続けており、これが当社に対する「需要家の信頼」につながっていると思っている。スクラップの顧客は主としてバージン品を使い、然る後にスクラップを使うケースが大半。こうした背景を事業に組み込み、具体的には、スクラップで供給が難しい局面ではバージンを使用するという逆の方向に事業を考えたい。当社はスクラップと共にプライマリー品も扱っている。スクラップを軸に材料の供給を絶やすことはなく、ニーズがあれば、どのような形態でも販売するということが当社の経営ポリシーだ。

(談)

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