■金属時評最新ニュース 週間速報版

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  「レアメタル」と「レアアース」の素材から
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■創刊:昭和33年11月15日 
■発行日:毎月5日・15日・25日 B5版16頁 

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■金属時評 週間速報版
*2022年
7月4日~(週間)
7月4日
台湾グローバルウエーハズ、米テキサス州に300ミリシリコンウエハー工場を新設へ

台湾グローバルウエーハズは、米テキサス州・シャーマン市に300ミリシリコンウエハー工場を新設する計画である。投資額は50億ドル、生産能力は最終段階で月産120万枚となる見通し。年内にも着工する。これについて、同社の徐秀蘭董事長(会長)は、半導体製造の強化に関する米国の最新法案「CHIPS法(CHIPS for America Act)」が、同社の新工場にとって極めて重要だとし、仮に法案が順調に通過すれば、22年11月に着工できるとの見通しを示した、という。同社は、今春に独シルトロニックの買収が打ち切りとなったことを受け、グローバルでの新増設を含めた大型設備投資を決めており、今回の投資はこの一環としてのものとなる。

7月4日
DRコンゴ・Tenke Fungurume銅・コバルト鉱山を巡る争いがエスカレート
 
メディアによると、Tenke Fungurume銅・コバルト鉱山(TFM)を巡る争いがエスカレートしており、プロジェクトの将来に疑問が生じている。TFM社の20%シェアを所有する国有鉱山会社Gecamines社の幹部は、鉱山を操業する中China Molybdenum(CMOC)社が7.6bUS$の未払い金を負っていると述べ、国の安全保障に脅威を与えているとしてCMOC社を非難した。CMOC社は疑惑を否定し、不当な攻撃とみなすものに対して「強く」反対し、自らの権利と利益を守ると述べた。Gecamines社のLeon Mwine Kabiena副CEOは、Gecamines社の次のステップはTFM社の鉱物販売を停止することかもしれないと述べた。Gecamines社はCMOC社との年間商業協定に署名しておらず、それがなければいかなる輸出も技術的には違法であるとしている。CMOC社は、この申し立てには根拠がなく、ロイヤルティの支払いはGecamines社との契約に明確に規定されていると述べている。

7月4日
UBE、半導体の洗浄やエッチング工程に使う高純度硝酸の工場増設へ
UBE株式会社(泉原雅人社長)は、今後の更なる需要増加に対応するため、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内において高純度硝酸の工場増設を決めた。2024年初頭に試運転を開始し、生産能力は現在よりも50%増強する計画。UBEは1986年の生産開始以降、国内の半導体市場の拡大に応じて段階的に生産能力を強化し、高いシェアを獲得してきた。今後も情報通信技術の著しい進展と、それに伴う旺盛な半導体需要が見込まれることから、今回の工場増設を決めたもの。

6月27日~7月1日
7月1日
東北大と大同特殊鋼、連携強化へ「大同特殊鋼×東北大学 共創研究所」を設置、グリーン社会の実現に向けた高機能軟磁性材料の研究推進‐

東北大学(大野英男総長)と大同特殊鋼株式会社(所在地:愛知県名古屋市、石黒 武代表取締役社長)は、グリーン社会の実現に向けたCASE関連の技術革新に貢献する高機能軟磁性材料の研究推進を目的として、2022年7月1日に『大同特殊鋼×東北大学 共創研究所』を設置した。今後、強固な産学連携体制のもと、企業技術者と大学研究者の部門横断的な連携を通じて、CASE関連製品の基幹部品に多様な形で関わる軟磁性材料に関して、特有の技術課題の基礎研究から新材料開発までの共同研究を加速推進する。東北大学と大同特殊鋼は、これまでも鉄鋼材料のみならず高機能材料各種の基礎研究を行ってきた。共創研究所での部門横断的な産学連携活動を通じて、今後のCASE関連製品の技術革新に貢献する高機能軟磁性材料の研究や人材育成をさらに加速させる。


6月27日~7月1日
7月1日
東北大と大同特殊鋼、連携強化へ「大同特殊鋼×東北大学 共創研究所」を設置、グリーン社会の実現に向けた高機能軟磁性材料の研究推進‐

東北大学(大野英男総長)と大同特殊鋼株式会社(所在地:愛知県名古屋市、石黒 武代表取締役社長)は、グリーン社会の実現に向けたCASE関連の技術革新に貢献する高機能軟磁性材料の研究推進を目的として、2022年7月1日に『大同特殊鋼×東北大学 共創研究所』を設置した。今後、強固な産学連携体制のもと、企業技術者と大学研究者の部門横断的な連携を通じて、CASE関連製品の基幹部品に多様な形で関わる軟磁性材料に関して、特有の技術課題の基礎研究から新材料開発までの共同研究を加速推進する。東北大学と大同特殊鋼は、これまでも鉄鋼材料のみならず高機能材料各種の基礎研究を行ってきた。共創研究所での部門横断的な産学連携活動を通じて、今後のCASE関連製品の技術革新に貢献する高機能軟磁性材料の研究や人材育成をさらに加速させる。

7月1日
韓LG Energy Solutions社と米Compass Minerals社とバッテリー品位のリチウム製品供給で拘束力のないMOUを締結

現地報道によると、米Compass Minerals社は、UT州Ogdenのリチウムかん水プロジェクトで生産予定の炭酸リチウムおよび水酸化リチウムの供給に関し、韓LG Energy Solutions(LGES)社と拘束力のないMOUを締結した。Compass Minerals社は2025年から7年間、プロジェクトの第1フェーズにおける年間生産量の約40%をLGES社に供給する予定で、プロジェクトが本格稼働した後、第2フェーズの年間生産量の40%を追加供給するオプションも含まれている。同プロジェクトの商業生産規模は炭酸リチウム換算で30~40千t/年で、2025年までに最大10千tの生産が見込まれている。LGES社は北米のサプライチェーンを強化しており、今回初めて米国に拠点を置くリチウム生産企業と契約を締結した。なお拘束力のある契約締結に向け、両社は現在も交渉を進めている。

7月1日
ガートナー、今年の世界スマホ出荷が7%減、PC出荷台数9.5%減へ、中国が減速

調査会社ガートナーは、世界のパソコン(PC)とスマートフォンの出荷台数が今年は減少するとの見通しを示し、インフレによる個人消費の落ち込みと中国経済の減速を要因として挙げた。写真は2月、ニューヨーク・マンハッタンで撮影(2022年 ロイタ
世界最大の市場である中国向けのスマホ出荷台数は、厳しい新型コロナウイルス規制の影響で18%減少する見込み。世界全体では7%の減少を予想している。サプライチェーンの混乱が打撃となるほか、ウクライナ紛争が需要を圧迫するとしている。ガートナーのシニア・ディレクター・アナリスト、ランジット・アトワル氏は「地政学的混乱、高インフレ、為替変動、サプライチェーンの混乱という最悪の事態が、世界中の企業や消費者の需要を押し下げている」と指摘。「2022年にはPC市場に最も大きな影響を与える」と予想した。ガートナー社は今年の世界のPC出荷台数が9.5%減少すると予測している。

6月30日
日本製鉄、純チタンの環境配慮型素材を開発、アウトドアメーカーのスノーピークへ供給を開始

日本製鉄株式会社は、純チタンで世界初となる環境配慮型素材 TranTixxii(R)-Eco(トランティクシーエコ)を開発し、株式会社スノーピーク(以下、スノーピーク)への供給を6月より開始した。TranTixxii(R)-Ecoは、チタンインゴットの原料としてチタンスクラップを50%以上添加することにより、省CO2・省資源を実現した環境配慮型の素材で、東日本製鉄所直江津地区で製造する。純チタンは、チタン素材の中で最も加工性の良い素材であり、極めて高純度に造り込みを行う必要があるため、チタンスクラップの使用に際しては、異材・異物が混入しないよう、非常に厳格な品質管理や前処理を必要とする。この課題を解決するために、日鉄直江津チタン株式会社(所在地:直江津地区構内)の新型電子ビーム式溶解炉(EB炉)を活用した。EB炉では、日本製鉄が鉄鋼製造で培った技術を応用し、溶解プロセスにおけるスクラップ配置および電子ビーム照射パターンの最適な組み合わせを開発したことで、スクラップ多配合でも、インゴット成分を均質化し高品質な作り込みを実現した。

6月30日
産総研、ゼオンなど、複数のAIを活用し、複雑な材料データからさまざまな機能を予測する技術を開発、配合条件の選定から成形加工・評価までの材料開発を大幅に加速

NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」で産業技術総合研究所、先端素材高速開発技術研究組合、日本ゼオン(株)は、複数の人工知能(AI)を用いることで複雑な構造を持つ材料のデータを処理し、高速・高精度にさまざまな機能を予測する技術を開発した。今回開発したマルチモーダルAI技術は、母材・添加剤・充填剤といったさまざまな配合を持つ材料(複雑材料系)に対して、深層学習(ディープラーニング)を適用する新しい技術。画像や分光スペクトルといった異なる複数のデータを計測・統合することで、従来のAI技術を適用できなかった複雑材料系も、2万分の1以下の時間で高精度に異なる複数の特性の予測が可能になる。これは、膨大な条件から選定・成形加工・評価を行う材料開発における大幅な高度化・高速化につながるもの。

6月30日
米・Albemarle社、リチウム処理施設の建設を計画

現地報道によると、米Albemarle社は、米国南東部の主要港から鉄道でアクセス可能な場所に、100千t/年のリチウムを処理できる施設の建設を計画していることを明らかにした。米国では数多くの電気自動車(EV)製造工場の建設が発表され、リチウム需要の急増が予測されており、すでに同施設からの製品の供給について、複数の自動車メーカーと交渉しているという。同社は2030年までに、リチウム生産能力を現在の5倍となる500千t/年に増加することを目指しており、本計画が重要な役割を果たすとしている。NC州で保有するKings Mountainリチウム鉱山の操業は現在休止しているが、早ければ2027年にも再開し、同鉱山で生産されたリチウムを処理する予定である。

6月30日
産総研、NTTと共同でシリコン光集積回路のみで作動するニューラルネットワーク演算技術を開発、デジタル電子回路を補完する超低遅延、低消費電力な光AI基本技術を確立

国立研究開発法人産業技術総合研究所プラットフォームフォトニクス研究センターのコン グアンウエイ 主任研究員らは日本電信電話株式会社と共同で、国立研究開発法人科学技術振興機構の支援のもと、電子回路ではなく、シリコン光集積回路を使った超低遅延かつ消費電力の少ないニューラルネットワーク演算技術を開発した。この技術は、光集積回路を用いて機械学習の演算を行う技術である。解析すべき多次元データの電気信号は光集積回路のそれぞれ異なる入力ポートに入力されて光信号に変換され、さらに光集積回路に組み込まれた多数の光干渉計を通過する際に演算が行われる。そして、複数の出力ポートの光強度分布として演算結果が出力される。この技術を用いることにより、電気回路を経ることなく、光集積回路のみによるニューラルネットワーク演算が実現した。このニューラルネットワーク演算では、パラメーターが固定された光集積回路に光を伝搬させるだけで演算が完了するため、デジタル電子回路のような逐次スイッチングが不要となり、電子回路の千分の1以下の遅延時間、かつ数十分の1の消費電力での演算が可能となる。また、光回路では電子回路の10倍以上の高速なクロックが適用できるため、単位時間あたりのデータ処理量も大きくできる。これらの特徴により、この技術はデジタル電子回路を補完するAIアクセラレーターへの応用が期待される。

6月30日
INPEX・IHI・商船三井、アラブ首長国連邦と日本を繋ぐクリーン・アンモニアのサプライチェーン実証を実施

株式会社INPEX、株式会社IHI、株式会社商船三井の3社は、アラブ首長国連邦(UAE)と日本を繋ぐクリーン・アンモニア・サプライチェーンの実証した。実証において使用したクリーン・アンモニア(以下、同クリーン・アンモニア)は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)とOCI.N.V.の合弁会社である肥料メーカー大手のFertiglobeがアブダビで生産された天然ガスから製造し、ADNOCが供給したもので、アンモニア生産時に排出された二酸化炭素(CO2)を回収し、INPEXが参画するアブダビ陸上油田において同CO2を地下に圧入することで、CO2排出量を抑制したクリーン・アンモニア。

6月30日
韓国サムスン電子、3nm半導体の量産開始、TSMCに先行 GAA構造のトランジスタ採用、5nmから性能23%向上、半導体受託生産でトップのTSMC追撃に弾み

韓国のサムスン電子は、3ナノメートル(nm)半導体の量産を開始したと発表した。最先端の半導体製造を競い合う台湾積体電路製造(TSMC)に先行した。サムスンの資料によれば、同社の3nm製品はいわゆる「全周ゲート型(GAA)」構造のトランジスタを採用することで、5nm半導体と比べ電力消費を最大45%減らし、性能を23%向上させた。サムスンにとって他社に先駆け3nm半導体を市場投入することは、半導体ファウンドリー(受託生産)最大手のTSMCを追撃する上で極めて重要な意味を持つ。TSMCの半導体ファウンドリー市場シェアは5割を超え、米アップルが独自開発したプロセッサー、いわゆる「アップルシリコン」を独占供給。「iPhone(アイフォーン)」「iPad(アイパッド)」「Mac(マック)」でこうしたプロセッサーが使われている。TSMCは今年7-12月(下期)に3nm半導体の量産を開始すると発表している。サムスンは韓国京畿道華城市の工場で3nm半導体を生産し、後に平沢市の最新施設でも製造する計画。

6月29日
EU5カ国、ガソリン車の販売禁止5年延長要請 40年までに

ローターが伝えたところによると、イタリアやポルトガル、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアの5カ国が、欧州連合(EU)によるガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する時期を2035年から5年延長するよう求めている。欧州委員会は昨年、新車の二酸化炭素(CO2)排出量を35年時点で100%削減する案を示した。これに対し5カ国は、削減を35年時点で90%、40年時点で100%とするよう要請。小型商用車は35年に80%、40年時点で100%とするよう求めている。文書には「(販売禁止までには)適切に調整された移行期間を設ける必要がある」と記されている。 販売禁止案は、自動車の温暖化ガス排出を削減し、電気自動車(EV)への移行を促進するEUの計画で重要な柱になる。加盟国の閣僚は来週の会合で立場を決め、その後に最終的な法律内容を欧州議会と協議する。

6月29日
インドネシア:政府は錫の累進的なロイヤルティを計画

現地メディアによると、政府は、錫からの国家収入を増加させるために、錫のロイヤルティ率を引き上げ、累進的なロイヤルティを課すことを計画している。同国の国会第7委員会エネルギーにおいて、鉱物資源省のRidwan Djamaluddin鉱物・石炭局長は、錫の国際価格に連動する累進的なロイヤルティ案について、政府は業界関係者と協議を続けているとし、「引き上げ幅は販売価格によって包括的であったり、一律でなかったりする」と述べた。また、「国がより多くの収入を得る一方、企業の収入が減少するが、バランスがとれるようロイヤルティの数字をシミュレートしているところである。両者が納得する中間点を見つける」とした。現在の錫のロイヤルティは一律3%である。その他、Ridwan局長によると、同省が現在、錫インゴットの輸出禁止計画に関してJoko Widodo大統領への政策提言を準備していることも明らかにした。現在、インドネシアは錫のインゴットの98%を輸出し、2%は国内市場(加工用)向けである。実際にインゴットの輸出を止めるのであれば、国内加工産業を大規模に準備しなければならないことを意味するとした。エネルギー鉱物資源省によると、錫の輸出大国であるインドネシアは、中国に次いで世界第2位の錫の埋蔵量を有している。インドネシアの錫埋蔵量は800千tで、世界の埋蔵量474百万tの17%にあたる。同国の錫埋蔵量の約91%は、Ridwan局長が知事代理を務めるBangka Belitung州に位置している。

6月29日
昭和電工、韓国のSKと高純度ガス事業の北米協業検討覚書(MOU)を締結、アメリカでの現地生産化の検討を本格開始

昭和電工株式会社(高橋秀仁社長)と韓国のSK Inc.は、6月29日、半導体の製造工程で使われる高純度ガス事業の北米協業検討覚書(MOU)を締結した。2社共同で北米での半導体用高純度ガス現地生産の検討を始める。昭和電工と韓国 SK Inc.の高純度ガス事業の社内独立企業であるSK Inc.マテリアルズは、共同で北米での半導体用高純度ガス現地生産の検討を開始した。半導体用高純度ガスの市場で、エッチングガスにおいてトップシェアを持つ昭和電工と、クリーニングガスおよび成膜ガスでトップシェアを持つSK Inc.マテリアルズが共創し、アメリカビジネスの拡大を狙う。両社は、2017年に半導体用高純度ガスの製造・販売を行う合弁会社「SK 昭和電工」を設立し、韓国で窒化膜のエッチングガスであるCH3Fの生産を行っている。現在、SK昭和電工はHBrの製造プラントを韓国に建設しており、7月に竣工予定。

6月29日
中国・安泰科、2022年のリチウム原料供給量予測を上方修正、供給源が多角化

報道によると、税関統計において、2022年5月、中国のリチウム鉱石原料輸入量は28千tLCE(炭酸リチウム換算量)、2022年1~5月の累計輸入量は122千tLCEで対前年同期比17.3%増となり、前月比、前年同月比でいずれも大きく増加した。国別にみると、122千tのうち94.5%を豪州が占めたが前年に比べやや下落し、ナイジェリア、ジンバブエ、南アなどのアフリカ地域からの輸入量が3倍以上伸びた。中国企業はアフリカでの探査事業や事業参入機会を積極的に行っており、リチウム供給源が多角化している。国内では、河北省や湖南省等の地域で開発が検討されているという。
 こうした背景から、安泰科は、2022年の国内リチウム原料供給予測値を、年初の160千tLCEから200千tLCE超へと上方修正した。リチウム塩については、これまでガラス・セラミック業界で利用されていた葉長石やリシア輝石精鉱もリチウム塩に転用され、リチウム塩類への原料供給はさらに伸びる可能性がある。安泰科は、2022年の世界のリチウム塩類生産量は780千tLCEを上回る可能性があると予測した。JOGMEC が伝えた。

6月29日
ノルウェー:岩谷産業、Nordic Mining社に191.75mNOK出資、チタン鉱石20千t/年のオフテイク契約を締結

プレスリリースによると、岩谷産業は、ノルウェーのEngebø Rutile and Garnetプロジェクトから採掘されるチタン鉱石の権益を確保するため、ノルウェーNordic Mining社に191.75mNOK(ノルウェー・クローネ:約26億円)出資を行うことで合意した。これに伴い、同プロジェクトから5年間に渡り、20千t/年のチタン鉱石のオフテイク契約を締結した。これは年間予定生産量の約60%に相当する。

6月28日
東北大・海洋研究開発機構・阪大、全く磁化の無い新しいハーフメタルの創製に成功、超高密度磁気メモリや磁気センサなどへの応用に期待

東北大学金属材料研究所の千星聡准教授と梅津理恵教授、海洋研究開発機構の川人洋介上席研究員、大阪大学大学院工学研究科の赤井久純招へい教授(研究当時:東京大学物性研究所)の研究グループは、反強磁性的なハーフメタルの開発に成功した。「遷移金属元素の価電子数を合計で10にする」という独自の開発指針を基に、鉄、クロム、硫黄からなる化合物を合成した。新規なこの物質は低温で完全に磁化を消失し、かつ、ある温度以上では最大3.8Tの高保磁力を有するハーフメタルである。優れた特性を示す反強磁性的ハーフメタル物質の合成に成功したことに加えて、物質の開発指針を実証した今回の成果は、今後の物質探索・開発を高効率化し、電子デバイス革新を加速させるものと期待される。

6月28日
モロッコ・Renault社とManagem社、硫酸コバルト供給のMOUを締結

プレスリリースによると、仏Renault社とモロッコManagem社は、バッテリー用硫酸コバルトの供給確保のためのMOUを締結した。Managem社はRenault社に対して2025年から7年間、低炭素で責任ある硫酸コバルトを5千t/年供給する。これは15GWh/年のバッテリー生産能力に相当する。Managem社は、エンジニアリングスタディの後、コバルト鉱石から硫酸コバルトを生産するため、モロッコのGuemassa工業団地内での工場建設への投資を計画している。風力発電を80%以上利用し、環境への影響の低減を目指すとしている。JOGMECが伝えた。

6月28日
大同特殊鋼、光学式エンコーダ・光電センサ向け点光源LEDの新生産ラインの本格稼働を開始

大同特殊鋼株式会社(石黒武社長)は、滝春テクノセンター内の電子デバイス工場で、2022年6月から4インチウェハ対応の点光源LED「スターLED」(商品名)新生産ラインの本格稼働を開始した。この点光源LEDは、高精度制御が求められる産業用ロボット、工作機械、半導体製造装置、電子部品実装機などに搭載されるサーボモータの位置や速度を制御するセンサ(エンコーダ)や、高精度が要求される特殊な光電センサなどで広く利用されている。世界的にIoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信)、EV(電気自動車)向けの設備投資が拡大し、設備に搭載されるセンサ用途の点光源LEDの需要が急拡大していることに対応したもの。これらの需要増加に応えるために、今回設備投資を行い、生産能力を従来の約2倍となる月産200万個に増強し、6月から本格的に量産を開始した。長期的なLEDの需要増に向けて、顧客への安定供給を実現していく。同時に、最新設備の導入により高品質なLEDの供給要望にも対応する考え。

6月28日
日本製鉄、高意匠性鋼板「FeLuce」がアクアコインランドリー用洗濯機器「Superior シリーズ」に採用

日本製鉄株式会社の高意匠性鋼板「FeLuce(R)(フェルーチェ)」(ヘアライン調電気めっき鋼板)が、アクア株式会社(AQUA)が2022年7月中旬より順次発売するコインランドリー用洗濯乾燥機とガス乾燥機『Superior シリーズ(スーペリアシリーズ)』計7機種に採用された。高意匠性鋼板は、防錆性能を担保するために施されるめっき層自体に、意匠性を付与するという画期的な製法により生まれた新しい鋼板。素材の表面に、塗料やフィルムなどを付加していく従来の手法ではなく、金属本来の素材感を活かすシンプルな「ものづくり」に挑戦することで、金属素材本来が持つ美しさと、プロダクトに要求される機能性を両立するとともに、エコで無駄のない商品に仕上げており、2020年度グッドデザイン賞を受賞している。

6月28日
米自動車販売、今年は17.3%減の見通し-サプライチェーン問題が影響

今年の米自動車販売は17.3%減少し、10年ぶりの低水準になると見込まれている。半導体不足などサプライチェーンの問題で引き続き生産に影響が出ていることが背景。 調査会社コックス・オートモーティブは生産の制約を理由に、自動車販売予想を1440万台に引き下げた。今回の予想下方修正にもかかわらず、低調な自動車販売は景気の現状と矛盾しているとコックスではみている。雇用市場や消費需要が力強さを維持しているためだ。新車の在庫は今年に入って増加しているが、約25日分相当にとどまっている。新型コロナウイルス禍前は、ディーラーの在庫は平均で70日分に近かった。ブルームバーグが伝えた。

6月28日
米KKR、東芝の買収合戦から退く方向-報道

米KKRは、東芝全体の買収に関心失う、スピンオフ事業の取得目指す。速やかに最終プロセスに招へいするパートナー候補を絞り込む。KKRは東芝の買収合戦に加わる可能性から退きつつあると、英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。それによると、KKRは東芝全体の買収には関心を失ったが、非上場化の過程でスピンオフ(分離・独立)される事業については取得したい意向があるという。KKR撤退となれば、同社と競い合ってきた米ベインキャピタルなどに東芝買収への道が開かれる可能性がある。

6月28日
昭和電工とマイクロ波化学、マイクロ波によるケミカルリサイクル技術の共同開発を開始

昭和電工株式会社(高橋秀仁代表取締役社長)とマイクロ波化学株式会社(吉野 巌代表取締役社長)は、マイクロ波を用いて使用済みプラスチックから基礎化学原料を直接製造するケミカルリサイクル技術の共同開発を開始した。2050年のカーボンニュートラル達成に向けてさまざまな取り組みを実施しており、当技術の早期社会実装・事業化を目指す。昭和電工とマイクロ波化学は、容器包装などに用いられた使用済みプラスチックにマイクロ波を照射して分解し、エチレンやプロピレンなどの基礎化学原料を製造する技術の開発に取り組み、まず基本技術の確立に向け、今年末までに、マイクロ波加熱分解物の生成条件検討、目的成分の収率向上に向けた触媒等の探索、さらに分解条件や分解プロセスの最適化などに取り組む予定。

6月27日
TSMC、つくばにジャパン3DIC研究開発センター開所

台湾TSMCは、産業技術総合研究所(産総研、AIST)つくばセンター(茨城県つくば市)に設置した、3次元(3D)実装技術と先進封止(パッケージング)用材料技術の研究開発(R&D)拠点、TSMCジャパン3DIC研究開発センターの開所式を開催した。日本政府は、イビデンなど日本の半導体材料、設備メーカー20社以上が参画する計画と説明し、総投資額の半分以上に当たる190億円を支援している。魏哲家・総裁は開所式のあいさつで、台湾と日本は世界の半導体サプライチェーン(供給網)で重要な役割を担っていると指摘した上で、同センターの開所によって、日本のパートナーとともに半導体産業のイノベーションを加速すると語った。

2022年5月 6日 (金)

■講演会 レアメタル研究会 2022年7月以降の開催スケジュール

■■レアメタル研究会 2022年7月以降の開催スケジュール

■ 第101回 2022年 7月29日(金) (2022年度 第1回)←次回
■ 第102回 2022年 9月 9日(金) (2022年度 第2回)
■ 第103回 2022年11月 4日(金) (2022年度 第3回)
  ★チタン関係シンポジウム(第6回)★(合同開催)
(関連シンポジウム:寄付ユニット特別シンポジウム 2022年11月)
■ 第104回 2023年 1月 6日(金)
   または 2023年 1月13日(金) (2022年度 第4回) 
  ★貴金属シンポジウム(第10回)+新年会★(合同開催)
■ 第105回 2023年 3月10日(金) (2022年度 第5回)

●第101回 2022年(令和4年)7月29日(金) 
 リアル講演会+講演のネット配信(Zoom Webinar & YouTube)のハイブリッド研究会
14時00分~ 講演会(Zoomを利用するOnLine講演会)
18時00分〜 研究交流会・意見交換会

*テーマ:ポストコロナのレアメタル事情
ポストコロナの資源供給:コバルトなどの現状と未来について (仮) (60分)・秋田大学大学院 国際資源学研究科 資源地球科学専攻 教授 渡辺 寧 講師
レアメタルに関する最近の話題 (45分)・東京大学 生産技術研究所 教授 岡部 徹 講師
ポストコロナの資源供給:リチウムの現状と未来について (仮) (60分)・国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 主任研究員 荒岡 大輔 講師

●第102回 2022年(令和4年)9月9日(金) 
 リアル講演会+講演のネット配信(Zoom Webinar & YouTube)のハイブリッド研究会
14時00分~ 講演会(Zoomを利用するOnLine講演会)
18時00分〜 研究交流会・意見交換会

*テーマ:資源開発の課題と将来展望
希土類鉱床の特徴と資源開発の課題 (仮) (60分)・国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 主任研究員 実松 健造 講師
レアメタルの光と影 (45分)・東京大学 生産技術研究所 教授 岡部 徹 講師
ペグマタイトに伴うレアメタル:リチウムやタンタルなどの現状と未来について (仮) (60分)・秋田大学大学院 国際資源学研究科 資源地球科学専攻 准教授 越後 拓也 講師

●問合わせ:〒153-8505 目黒区駒場4-6-1 東京大学生産技術研究所 Fw301号室
岡部徹研究室、レアメタル研究会事務担当 宮嵜智子(Tomoko Miyazaki)
Tel.03-5452-6314 Fax.03-5452-6313 e-mail okabelab@iis.u-tokyo.ac.jp
https://www.okabe.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html

2018年8月23日 (木)

■金属時評見本誌










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2017年4月 8日 (土)

■金属時評本誌 インタビュー過去記事抜粋

■■インタビュー集

 

■トップインタビュー

 

2016年11月5日号

 

●RSテクノロジーズ 取締役事業本部長・本郷邦夫氏

 

今春、台湾に月産10万枚の300ミリ再生シリコンウエハー工場を新設したRSテクノロジーズ。全額出資子会社での生産が早くも、「フル稼働に迫る80%操業に入っている」という。台湾の世界最大のファウンドリ―企業のTSMCやUMCなどの生産は好調で、「すぐというわけではないが、早晩、増設することになるだろう」と話すのは、同社の本郷邦夫取締役事業本部長。半導体全般は、やや調整気味とみるが、DRAMが比較的調子が良いほか、市況が上向いている状況であり、目先はまずまずとみている。今年上期は、熊本地震の影響で、三本木工場はフル稼働となっていたが、下期はまだ見通せない状態。しかし、それ以上に台湾の隣の中国の動きに眼を光らせる。中国の半導体投資が「灼熱」状態化しているからだ。「300ミリ工場の立ち上がりに対応し、認定は逐次進めて行く。それに沿って、2018年頃には現地生産が必要になるかもしれない」(同取締役)と分析している

 

 

 

―WSTSが2016年春季半導体市場予測で、今年の世界の需要見通しを前年比2.4%減と見込んだほか、ここにきてTSMCが、今年の成長見通しを2%から1%程度に下方修正するなど、半導体景気はやや調整気味ですが。

 

 

 

本郷 世界的な半導体景気動向は、確かに余り良くはない。ただ、DRAMはまあまあの状態だと思われるし、DRAM市況も上向き傾向にある。「楽観」はできないが、目先はまずまずというところ。再生シリコンウエハー事業は、台湾が早くも80%稼働を達成した。

 

 

 

―ところで、中国の半導体ビジネスが活況を呈しています。2020年には5割の自給率を目指すという壮大な半導体国家計画が本格化しているためで、かつての太陽電池、ディスプレイに次ぐ「灼熱状態を」迎えているようですが。

 

 

 

本郷 今春、「武漢新芯集成電路製造」(XMC)は、湖北省武漢で240億ドルを投じたNAND新工場の建設に着手した。同社は、2030年にはNANDや3DNANDで東芝を凌駕すると公言しているようですね。これに代表されるように、300ミリウエハー工場の新設計画が目白押しである。台湾のTSMCが全額出資で中国に初めて単独で3700億円を投じて、南京に最先端の300ミリウエハーを流す半導体工場の建設に着手した。また、同UMCが福建省厦門で着工した300ミリ工場は今年12月から量産に入るとされるほか、Powerchipが合肥で300ミリ対応の工場を建設中であること、および米国のグローバルファウンドリーが四川省重慶に進出するなど、大手3社が中国で揃い踏みの300ミリ対応の半導体工場建設を競っている。最近、仕事で安徽省合肥に出かけたが、BOEが長さ2キロメートルにも及ぶ巨大な液晶ディスプレイの最新工場を建設していた。そのパワーには眼を見張る思いである。

 

 

 

―今年の8月初めに、そのXMCを巡る中国の半導体企業同士のM&Aとして初めての大型買収が行われ話題となりました。この買収劇は、中国の半導体設計大手の清華紫光集団が、国内半導体メーカー最大手の一つであるXMCの株式の過半を取得、「中国最大の半導体メーカーが誕生した」という出来事です。これによって、〝中国最大〟の半導体持ち株会社「長江存儲科技」が誕生しました。新資本金は189億元(約2800億円)になるということです。

 

中国は半導体を年間約2000億ドル(約20兆円)以上、輸入しており、2013年には原油を上回る中国最大の輸入商品となりました。しかも、半導体分野では世界最大の貿易赤字国でもあります。このため、ハイテク産業のシンボルである半導体産業の育成を最優先課題に掲げ、2020年までに自給率5割を目指した国家プロジェクトがスタートしています。

 

 

 

本郷 中国の半導体自給率を高める戦略のなかで、遅れているのがシリコンウエハーや半導体材料、半導体製造用の特殊ガス事業である。これらは、半導体ビジネスの研究開発にスペックインして、成り立つ事業である。そのため、現状では最先端の半導体工場がわずかしかないために、ほとんど育っていない。そのため、2020年の段階では半導体の50%の自給率に対して17~18%にとどまるとみられているようだ。

 

 実際、シリコンウエハーでは6インチ以下しか自給できていない。わずかにある8インチでも、かつて日本から進出した企業が撤退し、その後を引き受けた日本企業が量産している以外は、事実上存在していない状態。6インチまでは、海外の技術者を引き抜くほか、退職後のエンジニアなどの協力で量産化できたが、6インチから8インチへの「ハードル」が極端に高く、容易に超えられないとみられている。日本でも6インチから8インチへのステップアップには、高精度の品質管理が求められてきたので、その経験を踏まえると、中国の困難さは十分理解できる。

 

 

 

―中国では8ンチを飛び越して、12インチウエハーの量産化の動きが具体化しています。「上海新昇半導体」が、今年夏までに300ミリウエハーの製造設備を建設し、単結晶シリコンからプライムウエハーまでの一貫体制を構築し、月産5000枚での生産に着手したといわれます。

 

 

 

本郷 近く本格的に稼働するようだ。将来的には月産60万枚を目指すとのことだが、量産化の決め手は研究開発の持続力と研究資金が続くかどうかだとみている。韓国で先端ウエハーを量産している企業からも開発要員を集めているようだが、そう簡単ではない。ただ、今後は国内の300ミリウエハーラインが続々と立ち上がってくるので、採用するところが出てくる可能性もあり、注目してみている。

 

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■トップインタビュー

 

2016年9月5日号

 

●NECトーキン  代表取締役・執行役員社長 小山茂典氏

 

NECトーキンの再建を引っ張ってきた小山茂典社長。就任4年目の2015年に全事業門の黒字化を達成するなど、健全化にメドをつけた。この間、タイの洪水の影響もあって一時は大きく落ち込んだタンタル電解コンデンサー事業の立て直しに取り組み、売り上げの25%を占めるまでに見事に回復させたほか、車載用のリレー事業を世界標準に押し上げるなど、「確かな経営手腕」が輝きを放っている。ここにきて中期的に、タンタルコンデンサーを毎年10%増強し、2018年度に月産1億個への引き上げを計画するなど、主力事業の強化を図る一方、モーターを始めとして多様な産業分野でのアプリケーションが見込まれるナノ結晶軟磁性材料や薄帯から粉末製品化を狙う非晶質軟磁性材料などの新規事業分野への展開を打ち出した。同社長は固めの経営見通しを語るが、米KEMET社との協業をフォローの風にした再建策が功を奏し、縮小均衡から脱却した今、再生NECトーキンの拡大均衡への期待が高まってきた。

 

 

 

‐NECトーキン創業以来の厳しい状況下で、経営再建に取り組んで来られました。それから5年を経まして、昨年度は全セグメントで黒字転換を達成、今年は新たな第一歩を踏み出したわけですが、直近の収益状況を教えてください。

 

 

 

小山 2012年に社長に就任しましたが、その時が日本のパソコン、携帯電話などのジャンルでハードウエアメーカーがポジションを下げて行った時で、最も厳しい時期でした。そこから社員皆で頑張って、ドン底からは何とか這い上がってきて、2015年度に営業黒字転換を果たしました。それまでの「寝たきり」の状態からようやく「起き上がって、歩きはじめる」ことができた状態というところです。この成果から振り返れば、過去2012年ぐらいから積み重ねてきた改善は、概ね「的を得た」計画だったと思っています。

 

当社は、現在非公開なので決算は公開していませんが、昨年度の実績は、売上553億円、営業利益25億円です。営業利益率5%ですね。引き受けたときは、マイナスからの出発でしたが、2012年度からは改善を積み重ねた結果、一貫して毎年増収増益化できましたが、2015年度は、ようやくすべての事業分野で黒字転換でき、「全社的に前に進むことがみえてきた年だった」と位置付けています。

 

 

 

‐2011年には2度の未曾有の災害に国内外で見舞われ、この間、「耐えに耐え抜いた」と、拝察致しますが。

 

 

 

小山 この5年間は事業環境やマーケットの変化などにも晒されましたが、私が引き受ける前の2011年には東日本大震災があり、宮城県の工場も被災しました。当時、宮城県の工場の責任者でしたが、被災と同時にサプライチェーンも大いに痛み、顧客も含めて大きな困難に見舞われました。それに加えて同年の秋にはタイで大規模な洪水があり、当社のキャパシターの主力工場が1カ月以上、水に浸かり、全損となりました。当時、タイの工場の出荷額は全社売上の3分の1以上、利益ベースで50%以上稼いでいた工場が、「ゼロに帰した」わけですから、大きなインパクトでありました。

 

いずれの災害も、「何百年に一度」という頻度の天災ですが、先ほども言いましたように2011年後半から2012年にかけてが、当社にとって最も苦しい時期でした。東日本大震災では、被災した工場の責任者として、「従業員の頑張り」を目の当たりにしまして、この会社の仲間たちと会社を必ず復活させたいと思いましたし、それだけの価値のある事業だと思いを新たにしました。

 

タイの洪水でも、「従業員にとっては生活基盤を失うような」大きなことでありましたし、当社にとっても事業を奪われるような大災害でありました。当時、直接タイの事業に携わっていませんでしたが、マネジメントの上位案件として「再建に」に取り組みましたが、やはり現地を訪れ、この事業を何とか復活させたいとの強い思いを抱きました。

 

巡り合わせもあって、社長を引き受けましたが、今、振り返るとわずか1年の間に大きな災害が二つも重なる苦境のなかで、「何で引き受けたのか?」とも考えることもありますが、「皆で危機感を共有」しながら、ここまでやってきたことが、全セグメントで黒字化を達成できた原動力となったと思っています。その結果、被災した宮城やタイの工場も早期の復旧と新工場を立ち上げることができました。タイは、20年も地元に根付いた事業であり、翌年の夏にはタイ国内の新立地で操業再開にこぎ着けることができました。

 

 

 

‐東日本大震災だけでもエレクトロニクス関連メーカーの痛手は、相当なものでしたが、ましてやタイの洪水とまさに、「会社存亡の危機」でした。そこから社長のリーダーシップと全社の身を削るような努力の積み重ねで這い上がってきましたが、その成果が2015年度決算に結実しました。経営が上昇軌道に乗る一方、タンタルキャパシターやリレーなどでは、活況が戻ってきました。

 

 

 

小山 昨年度から伸長しているキャパシターやリレーなどへの投資に徐々に取り組み始めています。しかし、ここに至るまでには多くの地道な企業努力が積み重ねられています。それは、タイでは工場が2012年夏に操業が再開できましたが、ホッとするどころか新たな「困難」の始まりでした。半年以上供給が停止したわけで、再認定など、一からのスタートを余儀なくされまして、マーケットシェアを取り戻すのに、そこから1年半以上の長い時間が必要でしたから。ただ、20年来の工場を失いましたが、新たな工場の建設によって最新の機器の導入が行われ、生産体制を一新することができました。競争力を高める大きな推進力となりました。

 

 

 

‐まさに、「禍転じて福となす」ということでしょうか。洪水の直後は、タイでの工場再建は出来ないのではとの見方もありましたが。

 

 

 

小山 キャパシターの主力拠点でしたが、タイでの工場再建をすべきかどうか、悩んだ時期もありました。当時は、原料タンタルが急騰している時期でもあり、収益性が悪化していまして、工場としても大きな規模のケミカル部分を抱えていますので、再建のハードルは非常に高かった。しかし、世の中でこうした電子部品が必要であり、期待に応えられるテクノロジーも有していましたので、何としても再建したいという思いがありました。幸い、「災害保険」のなかに洪水被害が保障に含まれており、再建投資費用の多くを賄うことができましたことは幸運だったと思います。

 

新工場の再建によって、競合他社に比べて「半歩先を行く」テクノロジーを取り込むなど、その後、このことが十分な利益を取り戻すことに繋がりました。ただ、この間の業績改善の大きな要因は、スマートフォンやIT、自動車の電装化の一層の進展、その他様々な電子産業の上昇トレンドが追い風になったことでした。

 

こうした効果もあり、最近になって設備投資が再開できる基盤がととのってきてはいますが、この間の4~5年の間に他の日系電子部品メーカーはどこも、過去最高の利益を上げる状況となっていますので、それらと比較すると当社はまだまだ、道半ばであるといえます。

 

 

 

‐電子部品各社とも、スマホ一辺倒ともいえる戦略からウエアラブル機器、次世代自動車、IoT、ビッグデータと早やくも、構造転換を見越した事業転換に動き始めるなど、変化の兆しがみえ始めていますが、今年から来年にかけての事業見通しをどのようにみていますか。

 

 

 

小山 来年度に向けてやるべきことは、今年と変わらないということですが、市場動向としてはやや保守的にみています。この3~4年のように簡単に右肩上がりで伸びるとは考えていません。取り組んできた環境・エネルギー、自動車、医療などは一応、堅調ですが、一昨年や昨年までのような大きな伸びがあるかどうかは疑問。グローバルでの政治的、経済的、社会的な不安定性が強まっていることもあり、企業の投資意欲に影を投げかけています。今、ようやく全事業が黒字転換したところであり、余り高望みをせずに、来年度は売上で5%程度の成長を計画していますし、収益についても同様に「固めに」にみています。

 

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■トップインタビュー

 

2016年6月5日号

 

●株式会社三徳 代表取締役社長 岡田力氏 

 

「レアアースとレアメタル事業を基盤にした三徳のもつ高機能金属技術のポテンシャルを積極的にアウトプットすることによって、新たな事業化への糸口につなげて行きたい」と話すのは、株式会社三徳の岡田力社長。「これまで、どちらかというと社内にある潜在的な技術力を外部に向けて発信するということは少なかったのですが、昨年の大阪と今年4月に東京で開催された高機能金属展に出典しました。展示会への参加は、久しぶりのことですが、持てる技術を多様な形で外部に提案することによって、中期的に製品化・事業化展開を加速しようと考えており、展示会への参加もそうした思いの一環です」と、社外に向けて〝チャレンジする三徳〟を前面に打ち出す。一方では、和歌山レアアースを傘下に収め、既存事業の強化拡大に加えて、「C」(炭素)から「H」(水素)へのグローバルなエネルギー転換の動きを捉え、国家戦略への積極的な参加、或いは大学との連携、企業間の提携など、多面的な企業活動を展開する方針を語る。中期事業戦略を軸に事業の柱であるレアアース、レアメタルの動向、さらには関連事業の現状と今後の見通しなどを岡田社長に聞いた。

 

 

 

 ―昨年から中期5カ年計画をスタートし、その1年目に早速、ネオジム磁石合金の事業戦略強化の一環として、新日本電工グループとの間で和歌山レアアースの譲渡契約を結び、昨年11月には子会社化を完了、磁石合金事業のボリュームを大幅に拡大、国内最大手の地位を一段と強化しました。

 

 

 

岡田 日本電工と中央電気工業の経営統合により、新日本電工グループを立ち上げられるなかで、事業の選択と集中に踏み切られた結果、弊社にネオジム磁石合金事業譲渡の打診があり、昨年、中央電気工業・和歌山工場のネオジム磁石合金事業を切り出し、和歌山レアアースを設立、譲渡の具体的な交渉を行ってまいりました。その結果、昨年11月には最終合意に達し、後に公正取引委員会の了解を経て、弊社が80.73%、双日が20%弱の出資比率で、和歌山レアアースを弊社の子会社化しました。弊社の培ってきたネオジム磁石合金事業と和歌山レアアースの有している製造技術を融合、国内外での事業経験を生かした「シナジー効果」を発揮し、グローバルでの事業拡大に結びつけていきたい。

 

 

 

―子会社化の直後、和歌山レアアースの資本金を1億円から3億5000万に増資、事業体制の整備にも取り組んでいますが、今回の新たな国内拠点の確保に加えて、予ねてから展開している中国でのネオジム磁石合弁事業を併せて、グローバルな供給体制が大幅に拡大します。

 

 

 

岡田 和歌山レアアースの子会社化で、弊社グループのネオジム磁石合金事業のウエイトトが大幅に拡大し、売り上げに占める比率も大きくなります。中国内事業は、一昨年、能力増強を行い、需要増への対応を図りましたが、残念ながら2015年は中国市場が低迷しており、弊社の合弁事業もぎりぎり黒字を計上する業績にとどまりました。

 

そうしたなかで、磁石合金事業での今年の課題は、和歌山レアアースと弊社の技術の相乗効果を発揮し、「両社の顧客に対して、統合のメリットをどのように還元して行くのか」ということにあると思います。この課題に対して、スピード感をもって取り組むことにしています。新日本電工グループからは、中央電気工業がベトナムに進出、設立したレアアースのリサイクル事業譲渡の打診もありましたが、弊社は国内で独自のレアアース、レアメタルリサイクル技術を有していまして、他社技術を導入したベトナム工場とのマッチングは難しいと判断しましたほか、弊社の有していますマンパワーの面からも、あまりにも過大かなとの思いもありましたので、お断りしました。

 

 

 

―中期計画の初年度から、〝岡田流〟の積極経営がヒットしていますが。

 

 

 

岡田  中期経営計画では、5年で「安定的、持続的に成長する」ことが大きなテーマです。また、これまで展開してきた事業の「収穫期」と位置づけています。同時に次の戦略事業への種まきを行う。さらに、エンドレスの課題である財務体質の改善を図り、次の投資に備えるということが狙いになります。

 

 

 

―環境・エネルギー関連での御社のポテンシャルは、ジルコニウム系触媒材料などの排ガス触媒用材料、磁気冷凍材料、最軽量マグネシウム合金、燃料電池材料、AB5やBCCといった水素吸蔵合金、空気電池用陽極触媒など、非常に高いものが揃っています。

 

 

 

岡田 これらの製品を成長の原動力に据え、中期計画で事業の柱に育て上げることが目標となっています。そのためにも、外向きの提案を積極的に推進することに力を入れ始めているところです。久し振りの展示化への出展もそうした狙いからです。実際、展示会を通じて思わぬ企業からの問い合わせや依頼なども舞い込んでいます。

 

 

 

―将来的な世界のエネルギー供給の動きが、「炭素」(C)から「水素」(H )へ舵を切り始めていますが、これらの新規分野でレアアース、レアメタルの新たな出番を期待させる研究も広がっています。水素社会を目指し、国家戦略として推進している燃料電池開発では、電池の大幅なコストダウンが普及への一里塚となります。

 

 

 

岡田 低コスト燃料電池に不可欠な白金代替技術として、助触媒にランタンやセリウムを使った研究開発が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によって進められています。弊社も燃料電池関連では、炭化水素の水蒸気改質触媒、アニオン伝導固体電解質などの開発を行っており、これらの潜在的な力を製品化に向けて、多様な取り組みを目指すことにしています。

 

また東芝などが、風力発電などの自然エネルギーを活用、この電気で液化水素を製造し、燃料電池向けの供給を行う実証実験が始まっています。そこでは、製造後の水素の輸送手段として液化水素ボンベが使われていますが、どうしても体積が大きくなってしまうという課題があります。弊社の得意とする水素吸蔵合金を使えば、「コンパクト化」が実現します。レアアースを活用した高容量で高機能な水素吸蔵合金への研究開発の推進は、水素社会の発展にとって大きなインパクトを持っていますので、活用を期待しています。また、リチウムイオン二次電池用正極材を事業化していますので、電力貯蔵分野での潜在力を有しています。

 

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■R&Dインタビュー

 

2015年12月25日号

 

●国立研究法人物質・材料研究機構 関口隆史グループリーダー

 

世界初のシングルシードキャスト法で、「高品質」、「低価格」の単結晶シリコン(モノシリコン)成長に成功

 

世界の太陽光発電ビジネスは、供給過剰な低品質多結晶シリコンをダンピング戦略で世界に〟垂れ流す〟中国に席巻され、日、独などの有力企業が撤退に追い込まれたほか、事業環境は低収益を迫られている。かつては世界のリーダーだった我が国が、太陽光発電ビジネスの主導権を中国から取り戻すには価格競争力のある結晶シリコン太陽電池技術を開発することが必要不可欠である。この目的に沿って、2010年度からNEDOプロジェクト「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」が開始され、「高品質」、「低価格」の単結晶シリコン(モノシリコン)の育成を柱とした太陽電池技術の研究が推進されてきた。ここにきて、NEDOプロジェクトで従来の鋳造法に比べ、太陽電池向けモノシリコン結晶の品質を飛躍的に向上することに成功したのが、国立研究法人物質・材料研究機構MANAナノエレクトロニクス材料ユニットグループの関口隆史グループリーダーと九州大学の柿本浩一教授らの研究グループ。我が国の巻き返しの期待が高まる「シングルシードキャスト法」によるモノシリコンの開発に取り組んできた物材機構の関口隆史チームリーダーに新生産プロセスの優位性や将来性などについて聞いた。

 

 

 

世界に先駆けて開発したシングルシードキャスト法は、従来の鋳造法に比べて太陽電池向けモノシリコン結晶の品質を飛躍的に向上、シリコン太陽電池の高効率化とコストダウンが見込めるほか、結晶中の酸素濃度を6ppmにまで大幅に低減、FZ(フローティングゾーン)法シリコン単結晶に迫るパワーデバイス向けの大型結晶の供給への期待が高まってくるなど、太陽電池向けのみならず、我が国が世界をリードするパワーデバイス向けへの発展が予想されていますが。

 

 

 

関口 太陽電池の主流であるシリコン系太陽電池は、変換効率が20%に達しており、今後の開発は、付加価値を高めるために、一段の高効率化が求められている。一方、汎用の低価格太陽電池には、MC-シリコンと呼ばれる多結晶シリコンが使われているが、変換効率が16%から18%と1割から2割低い。

 

高品質、高変換効率の太陽電池としては、半導体シリコン単結晶(CZシリコン)を使って、変換効率20%を超える製品が製造されているが、多結晶シリコンに比べると価格が大幅に高いことが課題。しかし、従来の鋳造多結晶シリコンではこの目標値を実現することが不可能である一方、半導体用の無転位単結晶シリコンでは価格競争に勝ち残れないため、多結晶シリコン、半導体単結晶シリコンに代わる「第3のシリコン材料」の開発が望まれていた。

 

そこで、この問題を解決するため、NEDOプロジェクトで種結晶を使ったシリコンの鋳造法である「シングルシードキャスト法」を新たに開発し、結晶の品質が良く不純物の少ない単結晶シリコン(モノシリコン)インゴットを育成することに取り組んできた。開発した新たな鋳造法は、るつぼの中でシリコンを溶解し、小さな種結晶から大きな単結晶を成長させる技術で、半導体シリコン単結晶の作成法に比べて、原料コストと製造コストの両面でのコストダウンが可能である。

 

 

 

シリコン結晶の溶解には、一般的に石英坩堝が使われますが、坩堝の材質は何を使われているのでしょうか。今後、さらに大型結晶化へ向けたルツボの課題は。

 

 

 

関口 坩堝には石英を使っている。現在、多結晶鋳造用に1メートル角の坩堝も製造されているので、石英坩堝に関しては技術的な困難さは、あまりないと考えている。

 

 

 

多結晶シリコンでは、高純度の金属シリコンが使われますし、半導体CZシリコン単結晶ではイレブンナインの超高純度多結晶シリコンが原料となります。今回のモノシリコン結晶成長は、投入原料として何を使われているのでしょうか。

 

 

 

関口 半導体CZシリコンの端材が多い。高純度金属シリコンを使う場合には、ボロンやリンの濃度がわかっていることが条件となる。補償が大きいものは、効率を上げるのは難しいと思う。

 

 

 

シングルシード法による高品質モノシリコンの主要な成長条件は、3次元的なきめ細かな温度管理とも推測できますが、量産化にも向く技術なのでしょうか。

 

 

 

関口 電気炉の熱設計が最適化されれば、あとはプログラム通りの温度履歴で結晶ができるところが一番の特徴である。鋳造法は、高温で溶解したシリコンを坩堝の中で固化させるもので、半導体材料として用いるCZ法やFZ法と違って、結晶育成中に監視する必要がないため人件費が省けるなど、製造コストの低減が可能。開発したシングルシード法は、種結晶を坩堝底全面に敷くのではなく、中心に置いた一個の種結晶から大きな単結晶を成長するもので、原料コストを抑えることができる。

 

 

 

今回試作に用いた設備で50センチメートル角のモノシリコンインゴットまでの成長が可能とされているほか、一般的な太陽電池の量産ラインへ組み込むことができるとされていますが、種結晶を含めた一回当たりの原料投入量と結晶の成長速度を教えて下さい。

 

 

 

関口 原料投入量は、50センチメートル角のモノシリコンが得られる結晶の厚みが10センチメートルで約60キログラム、20センチメートル高さでは約120キログラム。結晶の成長速度は、通常の鋳造結晶と同程度である。

 

 

 

電力必要量は一回当たりどの程度なのでしょうか。また、それは多結晶シリコンの一般的な製造法であるシーメンス法や半導体単結晶シリコンの製造法のCZ法と比べ、削減可能でしょうか。

 

 

 

関口 多結晶シリコンの鋳造炉に準じた電力を投入している。シード法モノシリコンは溶解時に、多結晶を成長させる場合より少し長い時間をかけるので、その分電力は少し増加する。コストダウンは、断熱性能を更に強化し最適化することで可能と思う。

 

CZ炉では、結晶育成に伴って融液量が減少するのでパワーを増大させる必要があるのに対し、鋳造炉では、結晶育成に伴ってパワーを減少させて行くことや、一度に、CZ炉の約10倍の大面積の結晶を育成することができることなどで、電力的には有利である。(50cm角の場合、約10倍)

 

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■R&Dインタビュー

 

2015年11月25日号

 

東京大学生産技術研究所 増野敦信助教

 

「鋼に近い高弾性」、「高屈折率」を発現する酸化物ガラスで、ニューガラスのフロンティアを切り開く

 

これまでガラスにならないと思われていた、酸化アルミニウム(AlO3)と酸化タンタル(TaO5)のみからなる新しい組成のガラスの世界初の合成に成功したのが、東京大学生産技術研究所 増野敦信助教。得られたガラスは無色透明で酸化物ガラスの中で最高の弾性率を有している。局所構造解析を行ったところ、アルミニウム原子周囲の構造が、一般的なガラスとは大きく異なること、そしてその結果として、充填密度が非常に高くなり、極めて高い弾性率となっていることを突き止めた。開発したガラスは「ガラスよりも、鋼に近い値」を示しており、薄くしても丈夫な新素材として、エレクトロニクス用基板、建築材料、カバーガラスなどへの応用が見込まれている。同助教は、アルミニウムータンタル以外にも、希土類ーニオブ、希土類―チタン、希土類―アルミなど一連の“ニューガラス“の開発でも成果をあげ、類をみない高屈折率ガラスとして企業との共同研究を経て、商品化に動き始めており、一躍脚光を浴びている。英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」にも掲載された今回の成果について増野助教に聞いた。

 

 

 

―これまで、酸化アルミニウムを主成分とする単純な組成ではガラス化しないとされてきましたが、今回、成功したポイントは。

 

 

 

増野 酸化アルミニウムと酸化タンタルとをほぼ1:1の組成で混ぜ、無容器法を適用することで、無色透明なガラスにすることができたところである。具体的には、酸化アルミニウム粉末と酸化タンタル粉末を予めほぼ1:1で混ぜて固めたものをノズルからガスで送り込み、浮遊させながら炭酸ガスレーザーを照射することによって合成した。

 

 一般的なガラス合成法においては、ガラス化を阻み結晶化を促進する最大の要因は、容器壁面からの不均一な核生成である。無容器法では物質を空間に浮かせた状態で合成を進めるため、壁面からの不均一核生成が極限まで抑制される。その結果、ガラスになりにくい組成でも比較的容易にガラス化することができる。

 

無容器状態を実現するために、今回はガス浮遊炉を用いた。円錐形のノズルから試料に対して下から鉛直方向にガスを吹き付けることで、試料を浮遊させたまま保持し、炭酸ガスレーザーを照射して試料を2000℃で溶融、合成することができた。

 

 

 

―ガラス化する酸化アルミニウムと酸化タンタルの組成変動は。どの程度まで可能でしょうか。

 

 

 

増野 理想的な組成は、ほぼ1:1である。上下5%以上組成が振れると、ガラス化しない。

 

 

 

―酸化アルミと酸化タンタル粉末は、高純度のものが必要ですか。また、粒子径は。

 

 

 

増野 今回は酸化アルミニウム、酸化タンタルともに市販の試薬級(99.9%)を使ったが、レンズなどの高級なものでは高純度であることが要求されるかも知れないが、スマートフォンのカバーガラスなどでは、ある程度の純度があればガラス化への影響はないものとみている。溶かしてしまうので粒子径も特別にそろっている必要はない。

 

 

 

―今回、合成して得られた酸化物ガラスは直径が2.5ミリメートルの球体ですが、サイズはどの程度まで可能ですか。また、量産性は。

 

 

 

増野 ガス浮遊炉を利用した無容器法の場合,ガラス化しやすい組成なら最大で10ミリメートル程度までは作ってみた。レンズのような用途であると、この大きさ程度でもそのまま使える分野もあるだろう。また、スマートフォン用のカバーガラスなど比較的大きな用途では、球体ガラスを多数作って型に入れ、ガラスが軟化する程度の温度まで高めて圧力をかけて焼結すれば、利用可能な状態を形成できるとみている。

 

 量産については、そこまで考えていなかったが、カバーガラスなどを作るためのいくつか別のプロセスも試そうとしている。

 

 

 

―コスト的にはいかがですか。

 

 

 

増野 装置と原料代を別とすれば、ランニングコストは僅かな炭酸ガスレーザーの電力だけなので、安価に製造することができることが特徴だ。

 

 

 

―安価で製造可能、しかも高弾性、無色透明ですから「非常に丈夫なガラス」として、幅広い分野で応用製品化が期待できそうですね。

 

 

 

増野 薄くしても丈夫な新素材として、エレクトロニクス用基板、建築材料、カバーガラスなどへの応用が見込める。

 

なんといっても、酸化物ガラスの中で最高の弾性率を有している。局所構造解析を行ったところ、アルミニウム原子周囲の構造が、一般的なガラスとは大きく異なること、そしてその結果として、充填密度が非常に高くなり、極めて高い弾性率となっていることを突き止めた。例えば、弾性率のひとつであるヤング率は160ギガパスカル(GPa)に達したが、これは酸化物ガラスの中で最も大きな値である。典型的な酸化物ガラスの場合は80GPa程度、鋳鉄は152GPa、鋼は200GPa程度であることと比較すると、今回新たに合成したガラスの弾性率は、ガラスよりも鋼に近いことがわかった。

 

 

 

―高弾性のメカニズムは、どうして発現したのですか。

 

 

 

増野 走査型透過電子顕微鏡(STEM)でAlとTa原子の分散状態や核磁気共鳴(NMR)でAl原子核の局所環境についての解析を行った。その結果、AlとTaが原子レベルで均一に分散していること、そして周囲の酸素の数が5であるAl原子の割合が非常に多いことがわかった。通常の酸化物ガラス中に酸化アルミニウム(AlO3)を少量添加した場合は、ほぼ4配位になり、5配位は珍しい局所構造である。

 

その結果として、このガラスは全体的に隙間無く密につまっていた。また、こうしたAl原子周囲の特異な局所構造は、Taという元素によってもたらされたということを提案した。AlO3-TaO5ガラスで見られたAlやTaの特徴的な振る舞いは、従来のガラス形成則の考え方からは大きく逸脱しており、そのため今回開発した高弾性率ガラスは、本質的に新しいタイプのガラスであると考えている。ガラス科学における定説に反して、今回、酸化アルミニウムと酸化タンタルのみを組成とするだけでもガラスができるになることを示した。

 

これはガラス科学にとって新たな材料空間が発見されたといえる。加えて、Al周囲の局所構造を制御することでさらなる新材料を生み出せる道筋が見つかった。今回の成果によって、古典的ガラス形成則を超えたところに、新しい“高充填密度”ガラスの領域があることがわかった。

 

 

 

―2013年に発見したランタンーニオブ、ランタン―チタン、ランタン―タングステンなどの一連の高屈折率ガラスへの産業界の期待も大きいようですが。

 

 

 

増野 今回の成果と同様、これまでガラスにならないと考えられていたランタン酸化物(La2O3)とニオブ酸化物(Nb2O5)のみからなる組成の新しい2種類のガラスを開発した。2種類のガラスはLa2O3の含有量が多いものとNb2O5の含有量が多いものとがあり、いずれも無色透明で、かつ2.12.2という極めて高い屈折率を示した。

 

 

 

―高屈折率ガラス実用化の見通しは。

 

 

 

増野 このガラスの光学特性は極めて優れており、超高精細、高解像度を実現する光学レンズとしての応用が期待される。2013年に発表した時は、多くの光学ガラスメーカーから共同開発の声をかけていただいた。現在進行形のものがあるが、秘密保持契約があるので多くは言えないが、商品化される時期も遠くないだろう。他の商品と差別化を図った高機能、コンパクト、高付加価値分野で実用化を目指している。

 

*(続きは、有料バックナンバーで)

 

 

 

 

 

■新春インタビュー■

 

2015年2月5日号

 

株式会社 メタルドゥ 相談役 藤田國廣氏

 

 

 

 

 

 

 

●・・・日本の景気の立ち直りは、意外と早い      

 

「今年の景気見通しは?」と聞かれても、答えは非常に難しいと思う。しかし、こうだと言い切れる根拠があるわけではないが、一言でいえば、「そんなに悪い経済環境ではない」とみている。それと「意外と立ち上がりは早いのではないか」と考えている。

 

足元はレアメタルを含めた銅、鉄、プラスチック、原油などすべてのコモディティ価格が下がってきており、レアメタルの価格も大きな影響を受けている。マクロ的には世界経済の後退局面を迎えているばかりか、政治的にはフランスのテロ事件、ロシアへの制裁、中国経済のリセッションや原油価格の下落など、挙げたらきりがないほど、不安定要因は目白押しだ。しかし、人間誰しも50年前のことは忘れてしまっても、5年前のリーマンショックを忘れたわけではないと思うだけに、これらの政治、経済課題をその都度織り込みながらバランスしようとして行くと考える。

 

 

 

●・・・2月期決算は売上、利益ともに数十パーセント増の大幅増収益となる見通し

 

市況下落局面では在庫は「先入れ後出し」となり、一時的に負担は増すが、現状当社の業績は順調に拡大している。2月期決算見通しは売上、利益ともに数十パーセント増の増収増益となる見通し。当社の世代は変わったが次期決算も増収益を期待している。景気の波は常に繰り返しくることは避けられない。昨年来資源価格の下落が続いているが、市況が下がれば、いずれ底を打ち上昇に転じるし、上げ相場といえども必ず天井を打つ。

 

どこかに必ず「ターニングポイント」があることは変わらない。確かに、その時々の「在庫のポジション」や「売買ポジション」という経営的な部分もあるが、中期的なスパンで見れば市況が下がったほうが良いこともある。いたずらにばたばたせずに、「ピンチ」は静かに受け止め、しっかり自分たちの足元をみつめながら、適切に手を打てば逆に「チャンス」を呼び込むことができる。社内でも、こうしたことを常々言ってきている。

 

●・・・国内最大のレアメタルリサイクル事業は、「小ロット・多品種」

 

大手非鉄メーカーさんのように銅や鉄のリサイクルのような大型の設備投資を行い、長期に資本を寝かせるような長期的な事業展開は、当社はなかなかできない。国内のレアメタルリサイクル市場もそうした巨額の資本投下をするようなボリュームのスクラップが集まるものではない。

 

レアメタルに限ってみると、当社は「国内最大級」のリサイクルシェアを有している。月間3000トン前後のスクラップを扱い、現在の評価で150億円前後の業態である。

 

金属リサイクル事業は、鉄や銅やアルミのような大規模な事業とコバルトやニッケル、チタンのようなレアメタルの事業に二分されている。それだけにレアメタルはニッチで要求精度の高い仕事といえる。半面、大手さんが人、モノ、金を、技術を投じるようなリサイクル金属と異なるところであり、逆に大手さんが入り難いところでもある。

 

当社は、レアメタルのなかでもニッケル、コバルト、チタン、タンタルなどを軸にレアメタルに特化した事業展開を続けてきている。扱い品目は細目すれば数百種類に達するが、レアメタルのリサイクル産業規模は大きくない。それだけに、「小ロット・多品種」を武器に、大手企業が参入し難い領域で我々の活躍の余地があるということを念頭に企業価値の最大化を目指している。

 

 

 

●・・・経営ポリシーは、「安定供給」と「安定価格」戦略

 

スクラップとバージン品とでは、サプライチェーンが大きく異なる。スクラップは製造原価がある商品ではないが、バージン品に対しては必ず価格メリットがある。このスクラップの特質を事業に結実し、「安定供給」、「安定品質」、「安定価格」そして「多品種」を前提にした事業展開を続けており、これが当社に対する「需要家の信頼」につながっていると思っている。スクラップの顧客は主としてバージン品を使い、然る後にスクラップを使うケースが大半。こうした背景を事業に組み込み、具体的には、スクラップで供給が難しい局面ではバージンを使用するという逆の方向に事業を考えたい。当社はスクラップと共にプライマリー品も扱っている。スクラップを軸に材料の供給を絶やすことはなく、ニーズがあれば、どのような形態でも販売するということが当社の経営ポリシーだ。

 

(談)

 

 

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